篠原先生

2017.12.14

自然体験とお手伝い

子どもに何かをやらせているとき、つい手を出しちゃうことがありますよね。しかし、そこでグッと親ががまんすることが大切、という今月のお話は、夏休みを過ごすヒントとしても要チェックです。

キャンプとお手伝いの旅

昨年の夏、妙高青少年自然の家の「キャンプとお手伝いの旅~“やらせ”から“自立”へ」にかかわりました。
文部科学省委託「青少年の自立支援事業」で、就労体験や自然体験、生活体験を通して、主体性や健やかな人間関係、問題解決脳力といった社会性をはぐくむ機会とすることを目的とした活動です。

小学4年生から6年生、17名が14泊15日のキャンプ生活と民家宿泊を行いました。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2007年8月号に掲載されたものです。

妙高、奥阿賀、夢見平

このキャンプは三つのステージから成り立っています。

第一ステージは「出会いの期間」。
妙高の森でテント設営、仲間作りゲーム、班ごとのプチ冒険企画、メニュー創作型の野外炊飯などをして3泊4日を過ごしました。

第二ステージは「充実の期間」。
NPOにいがた奥阿賀ネットワークの協力の下、奥阿賀の民家に宿泊し、家族の一員として3泊4日の生活をしました。
食事作りや布団の上げ下げ、洗濯はもちろん、畑仕事やまき運びなど、昔ながらの生活をします。川で泳いだり魚をとったりもします。
主体性と社会性をはぐくむことをねらっています。

第三ステージは「発展の期間」。
電気もガスも水道もない夢見平でキャンプ生活をします。
第一ステージのキャンプでは活動プログラムがありますが、このステージではありません 。
4泊5日の活動をすべて自分たちで決めて活動します。
秘密基地作りをする班、昆虫調査をする班、15km離れた戸隠まで野宿をしながら1泊2日で出かけた班などがありました。

生きる力とがまん力

わたしたちの仕事はこういう活動の評価です。
この活動での子どもたちの変化を何らかの数値として評価することです。

そのために使ったのが、子どもIKR評定用紙とGO/NO-GO課題です。
子どもIKR評定用紙は、非依存性、積極性、明朗性、自己規制、思いやりなどを調べる項目から出来ており、いわゆる「生きる力」を調べるものです。
GO/NO-GO課題はこの連載ではおなじみですが、赤いランプと黄色いランプがつくので、赤いときだけボタンを押せ、というものです。ぐっとがまんできる力を調べるものです。

さて、「生きる力」はキャンプの初日の120点から130点と伸び、3ヵ月後も125点と高い水準が続きました。
GO/NO-GO課題は対象群と比較して正解が増え、反応時間が伸びました。
ちゃんと考えてから反応できるようになったということです。

これまでの調査から、同じキャンプでも宿泊期間は長いほうが、またテント泊のほうが、食事は自炊のほうが、天候は厳しいほうが、子どもの「生きる力」が向上します。
ピンチや苦労はこどもを成長させるということです。

転ばぬ先の杖はやめたほうがいいでしょう。

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