篠原先生
誠実さを高めるには?
誠実な人になってほしいというのは、親の願いのひとつですが、今回は誠実性についてのお話です。幼児期の今、誠実さにつながるお子さんの行動をどんどんほめていきましょう。
誠実な子の将来は?
幼児期から学童期にかけてを「誠実性」が高く過ごした子は、その後、失業しにくかったり、年収が高い職業に就いたり、健康であったり、パートナーとの関係がよかったりしやすいことが、いくつかのそれぞれ1000人を超える縦断的研究(同じ人を追跡する研究)で明らかになっています。
では「誠実性」とはどういったものでしょうか。どういう項目で調べられているのでしょうか。
誠実さを測定する項目は?
人格研究の現在の主流である『NEO-FFI』(5因子人格検査の短縮版)では、「誠実性」は、「秩序正しさ」「良心性」「達成追及性」「自己鍛錬性」から成ります。
〈秩序正しさ〉
●持ち物はきちんとし、きれいにしている
●几帳面だ
●人は私のことを、きちんとした人間だと思っている
〈良心性〉
●割り当てられた仕事を、すべてきちんとやるよう努めている
●人の期待にそったり、約束を守ったりする
●必ず最後までやり通せる見通しがたってから、仕事をひきうける
〈達成追及性〉
●明確な目標を持っており、それに向かって整然としたやり方で取り組んでいる
●自分の目標を達成するようにがんばる
●やることすべてにおいて、志を高く持ってがんばる
〈自己鍛錬性〉
●時間どおりに物事をやり終えるよう、自分のペースを守るのが得意だ
●身を入れて仕事を始めるまでに、時間がかからない
●バリバリと仕事をやって、それをやり遂げる
こう並べると、「これは私が子どもに望む性格だ」と思われたかたが多いと思います。そして、そう願う正しさが、いくつかの縦断的研究で明らかになっているわけです。
一方で、誠実性を高めるのはなかなかに困難です。たとえば、双子研究から誠実性の40%は遺伝要因で説明されることが知られています。また、残り60%の環境の影響は双子を似せる方向には働かず、似せない方向に働いています。家庭環境を調整することで、子どもたちの誠実性を同じように高めることは困難なのです。別の言い方をすれば、普通に育てている分には誠実性が変わることはほぼない、そのぐらい現代の平均的な家庭は子どもたちをちゃんと育てているのです。
子ども期に誠実性を高める介入は効果あり!
一方で、子ども期の介入はおおむね効果を示します。これは、子ども期から青年前期までは誠実性は徐々に低下していくことから、子ども期での介入が誠実性の低下を抑制しうるためと考えられています。
となれば、みなさんがするべきことは一つ。上記の誠実性の各項目につながる行動ができたら、こまめにほめればいいのです。そうすることで、子どもたちは、誠実さにつながる行動を見つけ、続けようという気持ちが育ちます。
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