篠原先生

2017.12.14

ほめるバランス

場や人を問わず、よく聞かれるのが、「ほめて育てる」。
わかっていても上手に実行するのは難しいですよね。
今回のお話は、気負わずに実践するためのヒントになりますよ。

シュルツの実験

「子どもは、ほめて育てましょう」と言われます。

その根拠のひとつに、イギリスのシュルツという学者のサルの実験があります。 
サルの舌にジュースをたらして、ドーパミン神経系の活動を調べます。

ドーパミン神経系は快感やその予測、さらにやる気などにかかわります。 
サルはジュースが好きですから、舌にポトッとジュースを落とすと、ドーパミン神経系が発火して峻烈な活動の山をつくります。

次に、赤いランプがついてレバーをたたくとジュースが出る装置でサルを訓練します。
訓練を重ねると、サルは赤いランプがつくとレバーをたたくようになります。
このときのドーパミン神経系をみると、峻烈な活動の山は前倒しされ、ランプ点灯時に移ります。

ほめることの効果

「ジュース」が「ほめること」に、「レバーをたたく」のがお手伝いや勉強などの「望ましいことをする」ことに相当するとすれば、望ましいことを「しようかな」と思うことが「赤いランプ」に当たります。

ですから、ちゃんとしたくができたらほめる、勉強したらほめる、手洗いできたらほめる……。
そういうことを繰り返せば、「したくしようかな」「勉強しようかな」「手を洗おうかな」と思うだけで、子どもたちのドーパミン神経系が活動するようになるわけです。
だから、子どもの伸ばしたい行動の芽を見つけたら、こまめにほめましょうということになります。

やる気を維持するには

しかし、ひとつ問題があります。
このように学習したサルに、レバーを押してもジュースを与えないようにいじわるすると、とたんにドーパミン神経系の活動が停止します。
普段の活動値以下になって、ほぼ停止します。 
これを防ぐには、訓練段階からジュースを確率的に与えること。
50-70パーセントくらいで与えると、ランプ点灯時とジュースを与えたときのいずれもでドーパミン神経系の山ができます。

子どもをほめたほうがいいのは確かですが、百パーセントほめていたのではうまくいきません。
気が向いたときにほめるくらいの適当さがいいわけです。
そのほうが、やる気が維持できます。

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