ヒゲおやじ先生の脳コラム
お母さんの声は魔法の声
今回は、お母さんたちにうれしいお話です。先生の説明に「やっぱり、そうよね」とうなずくだけでなく、魔法にますます磨きをかけていきましょう!
母の声でストレスが消える!?
お母さんの声は魔法の声です。※今年の一月、こんな報告がありました。
ウィスコンシン大学マディソン校のレスリー・セルツァーらは7~12歳の女の子たちにストレスを与えた後、母親の声を聞かせる実験を行いました。そして、信頼や愛着に関わる物質とストレスに関連する物質を調べました。
女の子へのストレスは、公衆の面前でスピーチをさせ、さらに難解な数学の問題を解かせるというものでした。このストレス負荷後、女の子たちは、①母親と直接話す、②母親と電話で話す、③母親とメールでやり取りする、④母親との接触なし、の四つのグループに分けられました。
そして信頼や愛着にかかわる尿中のオキシトシンと、ストレスに関連する唾液中のコルチゾールとを調べたのです。
その結果、母親の声を聞いた①と②のグループでは、オキシトシンが通常時より多くなり、コルチゾールが通常時と同じぐらいに回復していました。一方、母の声を聞かない③④のグループではオキシトシンが通常以下、コルチゾールも高いままでした(図)。
※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2012年11月号に掲載されたものです。
母の声は魔法の声、ストレスを癒し消し去ってしまうのです。
愛着ホルモン・オキシトシン
オキシトシンは脳や体で作用するホルモンです。体では平滑筋の収縮にかかわり、分娩時に子宮収縮を促し、乳腺の筋線維を収縮させてお乳の分泌を促します。このためオキシトシンは子宮収縮薬や陣痛促進剤としても用いられています。
一方、脳では視床下部の室傍核や視索上核から分泌され、下垂体後葉など様々な脳の部位に作用します。扁桃体をはじめとする「社会脳」にも作用して、社会性行動、特に「信頼を基礎とするあらゆる人間相互間活動」に影響します。
たとえばオキシトシンを鼻腔にスプレーすると、投資ゲーム中に相手を信頼してその投資額が増えたり、寄付ゲームで相手に対する同情が高まり相手への施しが増えたり、顔表情判断では扁桃体の反応が低下して恐怖心が減じ、目を見つめる時間が長くなり、人の表情や気持ちが読めるようになったり、夫婦間のもめごと状況での会話で好ましい反応が増えたり、親子間の愛着が強まったりします。
おおすばらしい!スプレーしましょう!……ではなく、この報告のように母親など信頼できる人の声でオキシトシンは増しますし、信頼できる人とのハグ、スキンシップ、読み聞かせ、親子の遊び、ペットとの戯れなどでも分泌を増します。愛のある触れ合いが大事なのです。
ポピーを使って読み聞かせをしてあげてください。そのとき、お子さんの脳にはオキシトシンがあふれ、心が穏やかになります。ストレスが低下していきます。寝る前のワークとしてこれ以上のものはありません。
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