篠原先生

2017.12.14

お月見と脳

今年は9月25日が中秋の名月。お月見をして家族で和やかなひとときを過ごすのはいいものですよね。
今月はそのお月見が、なんと!脳にもプラスにはたらくというお話です。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2007年9月号のものです。

ブロードマン地図

上の図はブロードマンの脳地図といわれているものです。
脳は細胞の大きさや形、脳細胞がどんな風に層になっているかで、場所を分け、地図を描くことが出来ます。それが上図、ブロードマンの脳地図です。

おもしろいことに、この脳地図がほぼそのまま脳の働きの地図になります。
眼から入った光は網膜でばらばらにされ、17野に入ります。それから18、19野で合成されて、ものがものとして見えるようになります。
耳から入った音は、22野に入り、特に言葉は41、42野で理解されます。言葉を話すときは44、45野が関わります。
体を動かすのは4野、6、8野はそのプランニングをします。1、2、3野は触った感じ、体性感覚を処理しています。

角回

いつもお話ししている前頭前野は46、10、9野です。
入ってきた情報を加工し、運動として、あるいは言葉として出力しています。
だから大事なんですが、今日注目したいのはそこではなくて39、40野です。

39、40野は角回(かくかい)、縁上回(えんじょうかい)と呼ばれ、視覚の処理をする後頭葉、言葉や音や意味の処理をする側頭葉、体性感覚など動きの処理をする頭頂葉の境目にあって、視覚、聴覚、動きを統合しています。
前頭前野の次に巨大な統合領域です。

例えば、漢字は視覚情報であり、意味情報であり、書き順という動きの情報を含みますから、
漢字を書くとき39、40野がよく働きます。計算も視覚、聴覚、動きに関わりますから、ここがよく働きます。

比喩と角回

「りんごのような赤いほっぺ」「人間万事塞翁が馬」こういう比喩的な表現を理解するときもこの場所がよく働きます。特に39野、角回がよく働きます。

9月はお月見の月。お子さんとお月見をして、ウサギだカニだとはしゃぐと、お子さんの角回は活発に働きます。比喩がわかり、言葉の裏が読め、文学が理解できるようになるにはこうした体験が必要です。

ついでにお月様のお話でも読み聞かせてあげましょう。
読み聞かせは、子どもたちの想像性を育てるといわれていますが、まさにその通り。
読み聞かせの最中に特に活性化するのが角回なのです。

お月見をして、お話をして、読み聞かせて、風流な一日をお過ごしください。

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