篠原先生

2017.12.14

香り、音、温度と脳

リラックスしたいときは香りやBGMで、ということも多いですよね。そんな香りや音の中には、脳の活動に効果的なものもあるとか。今回のお話を、頭を使うときの環境を整えるヒントにどうぞ。

香りと脳

みなさん、習字のときの墨の香り、覚えていらっしゃいますか?

私たちは最近、この墨の香りを使ったパフォーマンス実験をしました。
ひたすらマス計算を続けているときに、墨の香りを6分サイクルで20秒間、3セット流して、計算速度や脳活動がどう変るかを調べてのです。

墨の香りは、かすかに香る程度の微香です。

すると香りが流れると、多くの人で、こめかみあたりの脳が一時的に活性を増し、その後、沈静化していきました。
そして香りの前の200秒にくらべて、香り後の200秒で計算速度がアップしました。
墨のかすかな香りを時折流すことで、パフォーマンスが上がったのです。

こめかみのあたりの脳は、計算に深くかかわります。
そこが墨の香りによって一瞬刺激され、沈静化していく。
一般に計算パフォーマンスが上がってくると、その部位は沈静化していきます。
墨の香りがすごいのか、微香一般がすごいのか、まだまだ検討が必要ですが、興味深い結果でした。

音と脳

音の実験もしたことがあります。
NHKの『ためしてガッテン』で、自然音を流す効果にからんで脳活動を調べました。

川のせせらぎとか、鳥のさえずりとか、自然音をわずかに流している場合、演歌を流している場合、雑音を流している場合などを比較すると、自然音で作業効率が向上しました。
このときの脳も沈静化。
脳は効率よく働くとき、その活動は省エネになるのです。

完全無音の環境だと、作業効率は格段に落ちてしまうのだそうです。
無音状態というのはあり得ない状態で、その分ストレスになってしまうのかもしれません。
自覚ぎりぎりの微妙なラインがパフォーマンスを高めるのかもしれません。

頭寒足熱?

温度はどうなのでしょうか?
頭寒足熱といわれますが、本当なのでしょうか?

私自身が実験したわけではないのですが、室温とパフォーマンスの関係も種々研究されています。
室温5度でパフォーマンスが最も上がるだとか、いや10度~20度だとか、脳温と室温に差があるほうがいいだとか、様々な結果が出ています。
頭寒足熱のうち、適度に「頭寒」であるとパフォーマンスが上がるというのが共通した結論のようです。

「足熱」のほうは、足の末梢の血流がよくなって副交感神経活動が高まり、リラックスできます。
そのため「頭寒足熱」がそろうとパフォーマンスも上がるのですが、いかんせん眠くなる傾向があって、疲れているけれど勉強しなければならない、といったときにはお勧めできません。

まあ、受験勉強をこたつでやった場合の悲劇をご存知の方は、言うまでもないでしょうが。

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