ヒゲおやじ先生の脳コラム

2018.06.12

「見つめ合い」は愛を深めるが…

大切な人と見つめ合うと愛や信頼が深まる気がしますが、脳の研究でもそうした結果が出ているようです。今回は、その「見つめ合い」についてのお話です。

神経症傾向の人はイヌにかまれやすい

英国でちょっとかわった調査が行われました。どんな性格の人がイヌにかまれやすいかという調査です。
イングランド地方チェシャー州の694人を調べた結果、4人に1人弱はイヌにかまれた経験があり(結構多いですね)、神経症傾向が強い人のほうが、イヌにかまれるリスクが高かったそうです。
神経症傾向が強い人は、外からの刺激に敏感に反応します。神経質で、不安を感じやすいのです。危険に対して敏感なので、行動は慎重になります。それがイヌに伝わるということなのかもしれません。
昔から、イヌなど動物の前でおびえるとよけいにかまれたり、おそわれたりするといった俗説がありますが、この研究を見る限り、そこそこ本当らしいわけです。そしてイヌには少なくとも相手の神経症傾向、もしくは性格を読む力がそこそこあるわけです。

イヌは心を読む?

イヌは心を読むのかもしれないということを示唆する研究はほかにもあります。ひとつはヒトの「あくび」がイヌにうつるという研究。
人間は目の前の人があくびをすると、つられてあくびをすることがあります。普通の現象と思われるでしょうが、実はこの現象はかなり特殊なもので、相手の気持ちに同期する力がないと現れないと考えられています。
具体的にはチンパンジーなど知能の高い類人猿だけがあくびがうつると考えられてきました。しかし、最近、イヌでもあくびがうつることが報告されました。

見つめ合いで互いのオキシトシンが増える

こんな報告もあります。オキシトシンは信頼ホルモン、愛着ホルモンなどと呼ばれ、信頼できる人の声を聞いたり、頭をなでられたり、スキンシップをしたり、見つめ合ったりすると分泌量が増します。
そして、麻生大の研究によれば、イヌと飼い主の間でもこの関係が成り立つというのです。互いに見つめ合う時間を過ごすと、飼い主、イヌともにオキシトシンのレベルが上がったとか。
またイヌにオキシトシンをかがせると、飼い主をより長く見つめるようになり、さらに見つめられた飼い主のオキシトシンの分泌量が増したとか。イヌとの見つめ合いはどうやら互いの愛着を増強し合っているようなのです。

二人の世界はひとつだけ?

ヒトの実験で、オキシトシンをかがせると、パートナー以外の異性を遠ざけるようになることが知られています。ですから、飼いイヌと長く見つめ合うと、そのイヌが他のイヌに近づかなくなったりするかもしれません。また飼い主のほうも「パートナーよりイヌ」となったりするかもしれません。
イヌとの見つめ合いで癒されているみなさん、また、子どもばかりを見つめているみなさん、お気をつけください。知らない間にパートナーを見なくなり、愛着が薄らいでいく、その循環に陥ってしまっているかもしれませんよ。

  • ポピー公式HPトップ
  • ポピー子育ておうえん隊
  • 幼児向け連動動画
  • 高校入試情報
  • ポピっこアプリ紹介
  • 公益財団法人 日本教材文化研究財団