ヒゲおやじ先生の脳コラム

2020.03.05

ドリルだけじゃない!親子のやりとりが、脳を活性化させる!

幼児ポピーでは、ポピーに取り組んでいるときの親子の脳活動を毎年測定しています。
もじ・かず・ことばの学習に比べて、一見あそびのように見える、親子のやりとりを中心とするページは、いったいどのような効果があるのでしょうか? 今回は年中児・年長児用の「わぁくん」の4つのコーナーに取り組んでいるときの親子の脳活動について、公立諏訪東京理科大学の研究室で検証を行いました。

①お話の読み聞かせでは?

幼児ポピーには毎号お話を載せていますが、今回はおうちのかたに「おおかみと7ひきのこやぎ」の読み聞かせを行ってもらいました。そのときのお子さんの脳活動を調べてみると、「デフォルトモードネットワーク」の一部である腹内側前頭前野(ふくないそくぜんとうぜんや)が活動を増していました(図1)。
「デフォルトモードネットワーク」は、記憶や自我を司どる神経ネットワークで、ひらめきに関わることが知られています。子どもたちは読み聞かせをしてもらいながら、自分の経験を思い出したり、それと自分の思いをつなげたり、登場人物の気持ちになったりと、あれこれ自由に想像の翼を広げ、さまざまにひらめいているのです。
またこの部位は、共感と関わります。親子の共感が想像力の刺激の源泉になりうるとも言えます。

②生活・しつけのページでは?

では、生活・しつけに関わるページではどうでしょうか?正義の味方「マッタマン」が生活のルールを教えるページに取り組んでいるときの脳活動を測定しました。
ここでは間違った行動をしている子を見つけますから、「見つけ」課題で活性化する〝注意ネットワーク〟の活動が高まります(図2)。さらに、この部位の活動がなければ比喩表現が理解できなくなる側頭頭頂接合部(そくとうとうちょうせつごうぶ)の活動が高まっていました。

③自分でお話を想像するような課題では?

「おはなしびよ~ん!」は、じゃばらに折った絵を少しずつ広げながら、物語を作っていくページです。
そのときの脳活動を調べると、腹内側前頭前野の活動が観察できました。また、映像的なイメージの想像に関わる頭頂連合野(とうちょうれんごうや)の活動も高まっていました(図3)。

④すごろくなどのゲームでは?

そして、ただのあそびのように思われるすごろくでも、腹内側前頭前野の活動が高まり、空間的な想像力に関わる頭頂連合野から側頭頭頂接合部が活性化していました。また、会話に関連する脳部位の活性化も観察できました(図4)。

子どもの脳活動のまとめ

読み聞かせでは腹内側前頭前野が活性化し、共感や想像力の発露が観察できました。生活・しつけページではしっかり見ることや想像することに関わる部位が、「おはなしびょ~ん!」ではしっかり見ることや共感に関わる部位が、すごろくでは共感や会話に関わる部位が、活性化していました。
また全体的に、活動が見られる部位以外の脳には鎮静化が見られました。これはストレスがなく、リラックスして楽しんでいる状態を示しています。別の見方をすれば、楽しい状態が想像力を促す基盤であると言えるのかもしれません。

親子で取り組むと親子の脳の相互作用を促す

今回、おうちのかたの脳活動とお子さんの脳活動の相関関係についても調べました。すると、読み聞かせで特に、またその他の取り組みでも、おうちのかたの右脳が活動する(=画像的にイメージをする)と、お子さんが考えることが認められ、お子さんの気持ちとおうちのかたの気持ちがリンクすることが認められました。

まとめ

今回の測定で、一見あそびのような、親子のやりとりが中心のページに取り組んでいるときも、想像力やひらめき、共感、会話に関する脳部位が大いに活性化していることが立証されました。これらは、まさにこれからの時代に求められる、意見を出し合い、新たな価値を創造する力に直結する部分と言えます。やりとりを中心とするページを親子で一緒に楽しみながら、小学校以降も重視される「対話的な学び」の原体験にしていきましょう。
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