ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.12.01

子どもに質のいい睡眠を

今回は睡眠のお話です。子どもの寝る時間がどんどん遅くなっているという話を聞きますが、これを読めば、早く、ぐっすり寝かせなければと思うこと請け合いです。

寝る子は育つ

寝る子は育つ。言い古された言葉ですが、寝ることで記憶が定着し、音楽や運動など技術も向上することが明らかになっています。
ハーバード大学のウォーカーらは被験者にキーボードを両手で決まった順でたたく学習をしてもらいました。ピアノで曲を覚えてもらうようなものです。
まず朝の10時前に練習してもらいます。それから朝10時、夜10時とテストをします。結果、朝の成績に比べて夜の成績の方がわずかながら上昇しました(+3.9%)。

寝るとうまくなる!

さて本題はこの後。
一晩寝て朝10時にテストをします。すると成績は+18.9%と急上昇。順序を変えて、夜学習し、夜10時にテストした後、一晩寝ても翌朝20.5%の成績上昇が認められました。
寝ている間に技術の習得が進んだのです。早稲田大学ではジャグリングを教えた後、すぐ寝かせたグループと起きていたグループを追跡調査し、すぐ寝たグループの方が後々までうまかったと報告しています。
睡眠は技術の定着を促進するのです。たとえば子どもたちのスポーツ合宿では、昼間のハードな練習も確かに立派な練習ですが、昼寝をしっかりとったり、夜ぐっすり眠ることもとても大事なのです。寝ずの特訓なんて無意味極まりないわけです。

睡眠はひらめきもアップする

リュベック大学のボーンらのこんな実験もあります。 中学の頃やった数列、覚えていますか?「2、4、6、次は何?」といったあれです。 こういう数列の難しい問題、ひらめきが必要な問題を解いてもらうのですが、その際、被験者を以下の四つに分けます。

①学習後、夜11時から朝7時まで睡眠、その後テスト。
②学習後、夜11時から朝7時まで夜中じゅう起きていて、その後テスト。
③学習後、朝11時から夜7時まで起きていて、その後テスト。
④夜11時から朝7時まで寝て、学習、直後にテスト。

その結果、ひらめき率は①59.1%、②22.7%、③22.7%、④25.0%。学習後、寝たグループの圧勝でした。睡眠はひらめきを促進するのです。

寝ると記憶が定着する

実は、寝ている間に記憶の整理や定着が起こるらしいという話は1990年半ばくらいから盛んに言われてきました。今ではほぼ確実と考えられていますが、睡眠のどの時点で記憶の整理や定着が起こるのかでは議論が分かれています。

初期から言われてきたのはレム睡眠期。目玉がビクビクッと動く(rapid eye movement : REM)ときに夢を見ているらしいのですが、そのとき記憶の整理が行われているという説。最近の報告では、昼寝前に学習し、その内容を夢で見たものの方が、昼寝後のテストの成績が高まったというのもありました。

もうひとつは徐波睡眠期。深いノンレム睡眠期に記憶が定着するという説です。最近ではこの時期に記憶が定着していることを示すデータがたくさん出ていますから、子どもたちにとっては、質のいい眠り、しっかりしたノンレム期のあるぐっすり眠りが必要です。

そのために必要なのは昼間のしっかりした運動。それから朝日を浴び決まった時間に食事をとる規則正しい生活です。よく学び、よく運動し、よく寝る、これが基本です。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2013年5月号に掲載されたものです。

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