篠原先生

2017.12.14

子どもを信じ、見合った働きかけをする

「子どもを信じなさい」とは、よく言われることですが、論理面ばかりでなく、子どもが伸びるためにも重要であるようです。
脳から見た「子どもを信じる」ことの効果とは?

ローゼンタールの実験

アメリカの教育学者ローゼンタールらは、1964年、サンフランシスコの小学校で、ある予測テストを行いました。
学級担任には、そのテストが、今後成績が伸びる生徒を予測するテストであることが知らされ、その結果が開示されました。
数カ月後、伸びると予測された生徒の成績が確かに伸びました。

しかし、実験はこのテストは成績の伸びを予測するテストなどではなく、無意味なものでした。
学級担任に示した結果は、ランダムに選ばれた生徒の名簿にすぎませんでした。それなのに、伸びると予測された生徒の成績が伸びたのです。

これは、教師が生徒に期待を持つと、より熱心に教えたり、出来なければ自分のせいとて考え授業法を工夫するなど、生徒の成績が向上するような働きかけが無意識のうちに増えることによる効果だと考えられています。
その結果、生徒の成績が向上したわけです。

ピグマリオン効果

この結果をローゼンタール効果とか、教師期待効果、ピグマリオン効果などと呼びます。
ピグマリオンという名は、ギリシャ神話のピグマリオン王に由来します。
この王は女性の彫像に恋焦がれ、その願いが神に通じて彫像が人間になったという伝説があり、ピグマリオン効果と呼ぶわけです。
一方、教師が期待しないことで生徒の成績が下がる効果は、ゴーレム効果といいます。

このロジックは、家庭でも注目できます。
親が子どもは伸びると思い込むと、それなりの配慮や働きかけを行って、結果として伸びる、逆にこの子はダメと思い込むと、教育的な資材を与えず、結果として成績が伸びない、そういう道筋がありうると言っている訳です。
これらの効果には様々な疑問が提出されてはいますが、それでも子どもを信じたほうが、信じないよりはましでしょう。

期待に応じて変わる脳

子どももまた、同じことをするのなら、そのことは効果的であると思い込んでしたほうが、効果が出やすくなりそうです。

たとえば、痛み止めを与える際に、その効果がどのくらいあると思うか、効果に対する期待をあらかじめ聞いておきます。
それから「偽の」痛み止めを与えます。

すると、よく効くと思った人ほど痛みが小さくなります。
これはプラシーボ(偽薬)効果として以前から知られていましたが、このときの脳を調べると、側坐核(そくざかく)というところで快感にかかわるドーパミンの分泌が増していたそうです。
しかも、よく効くと思った人ほど、その増加が大きかったそうです。

思い込みは、脳にとって真実です。
素直な子ほどよく伸びると言いますが、そのことにもこういうメカニズムが絡んでいるのかもしれません。
みなさんはお子さんが伸びることを信じ、お子さんは妄想野郎にならない程度に自分を信じて欲しいものです。

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