篠原先生

2022.06.15

わくわくしましょう

コロナ禍が続き、ストレスを感じている方も多いことと思います。今回は、そのストレスについてのお話で、最後にある対処法は子育ての参考にもなりますよ。

神経症傾向がストレスや孤独感を感じやすくする

新型コロナの流行が続いていますが、コロナ禍ではストレスや孤独を感じやすくなっているそうです。とりわけ神経症傾向が強いと、ストレスや孤独に弱くなりやすいのだとか。神経症傾向は「外向性‐内向性」、「開放性(好奇心)」、「誠実さ」、「協調性」と並ぶ5大性格因子の一つで、不安、抑うつ、自意識(劣等感)、傷つきやすさの他、敵意、衝動性を含みます。
「心配なことが多い」「こわいことが多い」「恐ろしさや不安を感じる」「緊張したり神経過敏になったりする」「将来が心配でうまくいかないのではないかと不安」、「さびしくなったり憂うつになったりする」「自分には価値がないと感じる」「物事がうまくいかないと自分を責める」、「穴があったら入りたいと思うほど恥ずかしいことがたまにある」「劣等感を持つことがある」、「どうしようもなくてその問題を誰かに解決してもらいたいと思うことがよくある」「ストレスが多いと自分が『めちゃくちゃ』になるように感じることもある」、こういうことが多いと、ストレスや孤独に脆弱であることは想像しやすいでしょう。
一方、「人の仕打ちによく腹を立てる」、「やりたい放題」「がまんが難しい」「好きな食べ物はつい食べ過ぎてしまう」「衝動的に何かをしてしまう」「感情を抑えることが難しい」といった傾向は、自由で好き放題、ストレスなんて感じるわけがないと思われがちですが、むしろストレスや孤独に弱いのです。だから、危機的状況やストレス下では、自分勝手に見える人の問題行動が増えるのです。

危機的状況ではワーキングメモリが働きにくくなる

危機的状況やストレス下では、ワーキングメモリ(作業記憶)が占拠されやすくなり、パフォーマンスが落ちやすくなります。ワーキングメモリは脳のメモ帳。われわれはこのメモ帳を使ってあれこれ考えるのですが、このメモの容量が食われてしまうのです。
もともとワーキングメモリが、同時に、あるいは入れ子のように扱える情報のまとまりは、せいぜい三つか四つ。「あれ」「これ」「それ」「その他」くらいまでなら同時並行処理、入れ子処理ができますが、これを越えるとパニくりやすくなってしまいます。そして、危機的状況やストレス下では、この脳のメモ帳の一部や大部分が占拠され、頭が働きづらくなるのです。大きな失恋をするとそのことばかりにとらわれ、頭を働かせるのが難しくなる、という具合です。神経症傾向が強いと、この傾向がますます強まります。

不安への対処はわくわくで

では、どう対処したらいいのでしょうか。いくつかの方法が提示されています。一つは不安などを書き出すこと。脳の中でぐるぐるまわりをさせると脳のメモが占拠されてしまうので、外に出し、脳のメモをあけるのです。信頼できる人に話すのもいい方法です。
もう一つは、不安を興奮として再評価する方法です。特に発表会や試合の前に有効だとされ、「私はわくわくしている」「興奮するなあ」などと自分に言うのです。「わくわくしなさい」「のっていこう!」など自分に命じるのも有効です。不安で活動するノルアドレナリン系が抑えられ、快感予測で活動するドーパミン系が働きやすくなります。すると記憶力アップ、スキルアップが起きやすくなります。
何かにチャレンジするときには「わくわくする」「興奮するなあ」と言いましょう。終わったときも「ああ楽しかった」と言いましょう。オリンピック選手が「楽しむ」などとよく言うのもこの方法の延長です。
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