篠原先生

2021.10.19

実行機能と幼児ポピー

子どもにはできるだけいい将来をと願うものですが、今回はそのために大事な「実行機能」についてのお話です。幼児ポピーの役割もわかるので、おうちの方必読ですよ!

実行機能が子どもの将来を左右する

京都大学の森口先生が2021年6月に『子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か』(PHP新書)という本を出されました。そこでは、ニュージーランドのグニーデンという地域で生まれた1000人ほどの赤ちゃんの発達を生涯にわたって追跡しているプロジェクトを紹介しています(Moffitt et al, 2011)。
Moffittらの追跡調査では、「実行機能」が高い子どもは、大人になったときに肥満や高血圧になりにくく、年収が高く、貯蓄が多かったそうです。医師や弁護士など社会的地位の高い職業につきやすく、たばこや薬物に依存することも少なく、犯罪を起こす率も低かったそうです。
二卵性双生児を12歳まで追跡した研究も紹介しています(Moffitt et al, 2013)。双子のうち実行機能が低いほうが12歳時点でたばこを吸い始めやすく、学力が低く、窃盗や暴行などの反社会的行動をとりやすく、教員から見て扱いが難しいと判断されやすかったそうです。

実行機能とは?

では、その大事な実行機能とはなんでしょうか?
研究者によって定義は違いますが、ざっくりいえば「目標を達成するために、考えや感情を制御するスキル」で、脳科学っぽく言えば「作業記憶」「行動の抑制」「頭の切り替え」からなる前頭前野(ぜんとうぜんや)機能です。
「作業記憶」は、幼児ポピーではおなじみのワーキングメモリです。たとえば「6913、覚えてね」「じゃ、逆から言ってみて」というように、ルールや情報を一時的に記憶して適切に操作する力です。
「行動の抑制」は、赤いランプがついたらボタンを押して、青だったら押さないで、といった課題で、赤、赤、赤ときて、次の青もつい押したくなるのをぐっと我慢するような力です。
「頭の切り替え」は、色、形、数で分類できるカードを分類していき、その都度、正解、不正解が示されます。試行錯誤すればどういうルールで分類されているかわかり、正解が続くのですが、突然、正解の分類法が変わります。色だったものが形になるとか。それを察知し柔軟に対応を切り替えていく、そういう力です。

幼児ポピーは実行機能を鍛える

こう紹介すると、これまで幼児ポピーを続けてきたみなさんなら、「あれ? 幼児ポピーの問題?」と思われたのではないでしょうか。
そう、幼児ポピーには「作業記憶」「行動の抑制」「頭の切り替え」を鍛える問題がたくさん出てきます。認知機能テストとして重要視されてきた、逆唱課題などのワーキングメモリ系テストや、行動の抑制を調べるGO/NO-GO課題、頭の切り替えを調べるウィスコンシンカードソート課題を、幼児向けの問題にして出題してきたのが幼児ポピーです。

しかも、楽しく

しかも楽しくできるように。
いかに大事な機能を鍛える課題でも、楽しくなければ効果は上がりません。いやいや行うリハビリに効果が見込めない一方で、楽しく取り組めれば、やる気にかかわる線条体(せんじょうたい)が活性化して、記憶に関係する海馬(かいば)にドーパミンが働き、記憶効率を高め、運動関連野(うんどうかんれんや)に働いてスキルが身につきやすくなります。
お子さんの将来にとって大事な実行機能課題を、いかに楽しく構成するか、これが幼児ポピーの一貫したこだわりです。そして、この楽しさを加速するのに、少なくとも初期ではおうちの方の励ましや見守りが大事です。うまいことお子さんの実行機能の芽を育ててください。

(ポピー編集部より)

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