ヒゲおやじ先生の脳コラム

2020.04.27

朝食はバランスよく

きちんと朝食をとる大切さはよく知られていることですが、どう大切なのでしょう? 今回の、脳活動への影響を中心にしたお話で、朝食の重要さを再確認できますよ。

朝食を抜くと生じる問題

みなさんにとって常識だとは思いますが、脳にとって朝食は大事です。
朝食と脳の関係については、東北大の川島先生らが大塚製薬と共同で調べています。それによれば、朝食抜きが引き起こす問題として、以下があげられています。

▼体温が上がりにくい
朝食はBreakfast=fast(断食)を破る食事です。断食が続けば体はエネルギー不足になり、体温が上がりにくくなります。実際、朝食抜きとバランスのいい朝食をとった場合で、昼の12時ころの体温を比較すると、朝食抜きでは0.1~0.2度くらい低くなってしまうそうです。


▼疲れやすい
疲労感をVAS(Visual analog scale)法で調べると、昼の12時ころ、10段階で2段階分程度の差が出ます。朝食抜きのほうが、疲れを感じやすくなっていたそうです。


▼集中力が低下しやすい
集中力は朝食後、30分から1時間でピークを迎えるのですが、同じくVAS法で午前9時ころに2段階分程度の差が出るそうです。もちろんバランスのいい食事をとったほうが集中力が高まります。


▼パフォーマンスが低下しやすい
内田クレペリンテストといって、並んだ数字を2個ずつ足していく作業量を調べるテストでは、午前11時ころで、1分間で4問分程度の差が出たそうです。
脳活動でも差がみられ、栄養バランスのいい栄養調整食品をとった場合は、脳の前頭葉の内側、前部帯状回(ぜんぶたいじょうかい)を含む内側前頭前野(ないそくぜんとうぜんや)で活動が高まりやすかったそうです。

脳にとって必要な栄養は何か?

では、脳にとって必要な栄養とは何なのでしょうか。
脳は、成人では、男性1350~1500グラム、女性1200~1250グラム程度で、体重の約2%にあたります。しかし、脳が必要とするエネルギーは摂取エネルギーの24%ほどにあたります。そして脳が使えるエネルギー源はブドウ糖ですから、炭水化物など、糖質の摂取は必須で、朝食抜きでは脳でのエネルギー枯渇が起きやすくなります。
もっとも、人間の身体は脳を優先するようにできていて、エネルギー不足になると脳以外でのエネルギー消費を抑え、脳にエネルギーを回します。そのため、だるい、体が重たいなど疲労感が高まりやすくなるのです。
では、ごはんやパンを食べればそれで済むかというとそうはいきません。脳は、その60%程度は脂質でできています。細胞膜が主で、脂肪酸やリン脂質の摂取も必要です。またドーパミン、セロトニンなどの脳内物質はアミノ酸からできていますから、タンパク質をしっかりとる必要があります。
ほかに、ビタミン、ミネラルも必要で、結局、いわゆる五大栄養素をしっかりバランスよくとることが、脳にとって望ましいことになります。

単品主義、サプリメントは疑問

テレビなどでは、○○が脳に良い、という話がよく出てきます。しかし、WHOは「健康的でバランスのとれた食事が推奨されるべきだ」とする一方で、「ビタミンB、E、不飽和多価脂肪酸とマルチコンプレックスサプリメントは、認知機能低下予防や認知症予防に推奨すべきではない」とし、単品主義やサプリメントからの栄養摂取をいさめています。
必要な栄養をしっかりとるには、安易な方法に頼らず、〝食事からバランスよく〟が基本です。

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