ヒゲおやじ先生の脳コラム

2019.10.29

幼児期に伸ばすべきは?

今回は、子どもを幼児期から追跡した調査結果の紹介です。その結果から、幼児ポピー『ポピっこ』が力点を置いている内容の大切さが見えてきますよ。

ガーナの子どもたちの調査

2019年、ペンシルバニア大のシャロン・ウルフらは、ガーナの子ども3862人について、平均5.2歳ころをスタートに、2年おきに調査を行い、実行機能と、社会性と情動のスキル、国語力、計算力の関係を調べた結果を報告しました。
実行機能とは、計画を立て順序良く物事をこなしていくことができる力で、それを発揮するには、この連載でおなじみのワーキングメモリ(作業記憶)の力、すなわち、記憶や情報を一時的に保持しながらあれこれ操作する力が必要です。
社会性と情動のスキルは、よくIQ(知能指数)と対比されるEQ(情動性知能)的なもので、社会のルールや、他者や自分の心を理解し、適切に対処していく能力です。

実行機能と国語力・計算力

その結果、初期(幼児から小学校低学年)の実行機能は、その後の国語力や計算力を予測したそうです。また、初期の国語力や計算力はその後の実行機能を予測したそうです。
つまり、幼児期の実行機能の力、あるいはワーキングメモリの力が強いと、その後、国語や算数の成績がよくなりやすく、また幼児期に読み書き計算ができていると、その後、ワーキングメモリや実行機能の力が伸びやすいというのです。シャロン・ウルフの言い方を借りれば、実行機能と学業成績は長年にわたって相補的な関係にあるのです。

社会性と情動スキルは?

さらに、初期の国語力や計算力はその後の社会性と情動スキルを予測するそうですが、初期の社会性と情動スキルはその後の国語力や計算力を予測しないのだそうです。
社会性や情動スキルはとても大事です。ひとの気持ちを理解する心は必要ですし、伸びてほしい力です。しかし、トレーニングとしての効率性を考えると(そう考えることが正しいかはいったん置いておくとして)、幼児期では実行機能や学業的な力(シャロン・ウルフはアカデミックな力と呼んでいます)を伸ばしておくことがより有効なのです。アカデミックな力を伸ばすことで、社会性や情動的なスキルを身につけやすくもなっていくというのが、シャロン・ウルフらの研究の示唆するところです。

基礎はワーキングメモリの力『ポピっこ』で伸ばし、考えることを好きになる

手前味噌で言わせてもらえば、『ポピっこ』では、十数年前から非アカデミックな力(社会性や情動のスキル)の基礎にワーキングメモリの力があると考え、そのトレーニングを問題作りの基本に置いています。
さまざまな問題にワーキングメモリトレーニングの要素を忍ばせた上で、非アカデミックな課題にも同様にワーキングメモリトレーニングの要素を忍ばせ、小学校で必要なマナーや社会ルールの学習、読み聞かせを通した心の理解を組み込んできました。
さらに偉そうに言えば、ワーキングメモリのトレーニング性は大事にしながら、「できた・できない」ではなく、「そのような頭の使い方が好きになること」「ちょっと頭にメモしながらあれこれ考えること」「それ自体が楽しく感じられること」に力点を置いてきました。5歳以下の脳で発達のピークを迎えるのは、好き嫌いにかかわる脳部位だからです。
実行機能や国語力、計算力はもちろん大事ですが、そういう問題を考えることを好きになる、ということが何より大事です。

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