ヒゲおやじ先生の脳コラム

2018.12.20

写真で自己肯定感を育てる

みなさんは、家にお子さんや家族の写真を飾っていますか?今回は、それについてのお話で、飾りと思っていたものがもつ意外な効用を知ることができますよ。

日本の子どもは自己肯定感が低い?

「自己肯定感」は、自らの価値や存在意義を肯定できる「認知」や「感情」のことで、「自分自身に満足している」「自分にはよいところがある」「自分は親から大切にされていると思う」「今の自分が好きだ」「毎日を楽しいと感じる」などの項目で測定されます。
心理的な安定や、学習を含むさまざまな事柄への前向きな挑戦につながる、大事な認知や感情ですが、残念ながら日本の子どもたちの自己肯定感は、欧米や韓国、中国と比べて低いことが報告されています。
さいわい、ここ10年程の調査で、子どもたちの自己肯定感は伸びつつありますが、さらに伸ばしていく工夫が模索されています。

子どもの写真が飾ってあると

小学ポピーではおなじみの親野智可等(おやのちから)先生は長い教師経験から、子どもががんばったときの写真を家に貼り出すことが自己肯定感の育成に役立つのではないかと主張されてきました。
そこで、東京学芸大学の岩立先生らはウェブ調査を行いました。その結果、子どもや家族の写真を飾ってある家庭の子どものほうが、飾っていない家庭の子どもより自己肯定感が高いことがわかりました。また、写真を飾っていない家庭に写真を飾ってもらい、その写真で子どもをほめる取り組みをしてもらったところ、子どもの自己肯定感が高まったのです。

自分の写真を見るとき脳の活動も高まる

私たちは、そういった写真を子どもが見ているときの脳活動を調べました。その結果、子どもの自己肯定感が高いことと、写真を見ているときの腹内側前頭前野(ふくないそくぜんとうぜんや)の左内側の活動が高いことが、相関することがわかりました。この部位は心地よいと活動を高めやすいところなので、自分をイメージしたときに心地よくなることが、自己肯定感の正体の一つだと想像されます。自分の写真を見ることは、自分をイメージすることにつながるからです。
そして、子どもの写真を貼り、ほめる試みをした家庭の子どもたちのほうが、そうでない子どもたちより、この部位の活動が高くなっていました。また、写真を見て、そこから何かをイメージすることにかかわる右の前頭前野の活動でも違いが認められ、子どもの写真を飾ってほめる試みを行った家庭の子どもたちのほうが、自分の写真をしっかり見て、何かをイメージしていることが推測されました。
たとえば運動会でがんばったことを家族にほめられ、その写真がリビングや玄関などに飾られていると、その写真を見るたびに誇らしい気持ちになります。自分のイメージと誇らしさ、気持ちよさがくり返し結びつけられます。

自己肯定感を育てるには

私たちの調査で、ポピーをしている子どもたちは、最初に示した自己肯定感の調査項目とよく似た「生きる力調査」で得点が高いことがわかっています。またポピーを親子でしているときは、腹内側前頭前野の左内側の活動が高まります。
親子で楽しくポピーをすることは、子どもの自己肯定感を育てることにつながります。それに加えて、ポピーをがんばっている姿や発表会、親子で行った旅行などの写真を飾って、楽しくほめれば、自己肯定感がより高まるでしょう。

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