篠原先生

2017.12.14

ワーキングメモリを問われる

よく知識の詰め込みだけではダメといわれますが、脳のはたらきでは、知識と知恵はどう違うのでしょう?
そして脳の発達との関わりは?

お受験の問題から

≪歴史-史実-(1)-(2)-用意-(3)-(4)-面目-目前-(5)-(6)-番町・・・≫。
灘中学の入試問題(2004年度)の一部です。このパターン名が続き、()の数は10個。
後ろに10個の二文字熟語が選択肢として用意されていて、そこから当てはまる熟語を選ぶ問題です。

この問題で問われているのは、もちろん熟語の知識です。
しかしそれだけではありません。
熟語のしりとり、それもふたつ、つながりですから、熟語の候補を複数以上頭の中において、正しい組み合わせを導く力が試されています。
ワーキングメモリの力、記憶や情報を一時的に頭の中で活性化させ、それを加工して何らかの結果を導く力が問われています。
前頭葉の力です。

お受験ですら?単なる知識ではなく「知恵」を見ようとしているわけです。
たぶんそういう力のある子のほうが、後伸びすることを経験的につかんでいるのではないでしょうか?

脳の発達

青いほうが大人の脳に近く赤いほうが発展途上

図はThompsonらがMRIによって5歳から20歳までの脳の発達の様子を追い、まとめたものです。
青くなるほど大人の脳に近づいていると思ってください。
赤いほど発展途上。

一見してわかる通り、他の脳部位にくらべて前頭葉と側頭葉がゆっくり育っていくのがわかります。
20歳でも発展途上。
とりわけ前頭葉背外側部(46野近傍)と角回、上側頭溝を中心とする側頭連合野はずっと成長し続けています。

後伸び脳

上側頭溝は五感の統合、角回は視覚情報・意味情報・動き情報の統合、46野はワーキングメモリの中枢ですから情報や記憶を組み合わせる力こそ「後伸び」の正体です。
情報を統合する力やワーキングメモリの力こそ、12歳以降も伸び続ける力で、だからこそ、その基礎がどの程度育っているか、単に知識だけを詰め込んでいるのではないか、が問われるのです。

手前味噌になりますが、『ポピっこドリるん』の主眼はワーキングメモリを鍛えることにあります。
まあ、受験はどうでもいいですが、後伸び脳は作っておきましょう。

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