篠原先生
自伝的記憶を共有しよう
目に余るような振る舞いをする子どもが増えたと感じるのは気のせいでしょうか?
子どもが変わったのは大人が変わったから。今回は、自らを振り返ってみようというお話です。
まずは問題です
※(1)「友だちと仲良くしなさい」と「言われない」子どもの率は、韓国30%、アメリカ19%、イギリス28%、ドイツ32%だそうです。さて日本は何%ぐらいでしょうか?
※(2)「テレビを見すぎだからやめなさい」と言われない率は、韓国25%、アメリカ19%、イギリス38%、ドイツ33%。さて日本は?
※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2007年6月号に掲載されたものです。
答えは
(2)の答えは54%です。
日本の親は子に対して「友だちと仲良くしなさい」も「テレビを見すぎだからやめなさい」も他国と比しダントツに言わない、ということです。
驚くことに「もっと勉強しなさい」と言われない率も、韓国18%、アメリカ10%、イギリス8%、ドイツ15%、日本40%。これもダントツです。
日本はどうなるの?
以上は信州大学の平野先生たちの国際比較調査によるものです。
彼らは他の項目も合わせてこんなふうにまとめています。
「日本はドイツ、イギリス、アメリカ、韓国と比べて、家庭で決められたお手伝いをしている子どもが少なく、生活規律や社会のルールなどについて親から指導や注意を受けている子どもが少ない」
わたしたちは知らない間に子どもに注意しなくなった。世の中のルールを伝えなくなった。子どもにものを言わなくなった。
それも他の国と比較して飛び外れて、というわけです。
体験の共有
「夜空いっぱいに輝く星をゆっくりと見たこと」が「ほとんどない」が平成10年22%から平成17年で35%。
「太陽が昇るところや沈むところを見たこと」が「ほとんどない」が34%から43%に増えています。
自伝的記憶
親に「世の中に迷惑をかけるな」と言われた。「困っている友だちを助けなさい」と言われた。親子で昇る朝日を見た。沈む夕日を見た。
こういう記憶を自伝的記憶といって、自我の形成にとって大きな意味を持つのではないかと考えられています。
自伝的な記憶は、例えば、昨日見た映画の中身についての記憶とは異なります。
自分の五感が総動員されていますし、自分が主人公の記憶です。また自分の気持ちの痕跡が刻まれやすくなっています。別にオールウェイズのような日々が理想だというつもりはないですが、ああした自伝的なエピソード記憶こそ、自分らしさをつくりあげるキーだ、というのはありそうな話です。
親子で自伝的記憶を共有しましょう。
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