篠原先生

2017.12.14

運動は脳を育てる必須アイテム

放っておくと、すぐにチョロチョロ動くのが子どもというもの。もうすぐ始まる夏休みを思うと、うんざりもしてきますが、今月のお話で見方がちょっと変わるかもしれませんよ。

エンリッチな環境

ねずみを育てるのに20畳くらいのスペースを用意します。
小高い丘をいくつかつくり、植え込みをつくります。チューブや羽根車など、色とりどりの遊具をおきます。

こういう環境でねずみたちを育てると脳が重くなります。
見ているわたしたちもわくわくしてくるような環境で自由に動き回っていると、特に海馬歯状回(記憶をつくることに関係する場所)で新しい細胞がたくさん生まれます。
また脳細胞は脳細胞は自然に死んでいくようにプログラムされているのですが、その数が減ります。

こういう環境をエンリッチな環境と呼び、エンリッチな環境が脳をよりよく育てると考えられています。

人にとってのエンリッチ

では人間にとってのエンリッチな環境とはどういう環境なのでしょうか?
超お金持ち(リッチ)でなんでも手に入る環境でしょうか?
社会的な圧力もなくひたすら自由に遊んでいられる環境なのでしょうか?
いくつかははっきりしつつあることがあります。

身体を動かすことは必須

ひとつは運動性です。

体を動かすことと脳は関係ないと思われがちですが、身体を動かしているのは脳です。
また、考えたりがまんしたりすることに関わる脳の場所は、身体をコントロールする場所のそばにあり、密接な連絡を取り合っています。
最近の報告で、運動したことによる血流パタンの変化から人でも海馬歯状回で運動によって新しい細胞が生まれていることが示唆されています。

子どもの頭を良くしようとして机の前に座りっぱなしにすると、かえって頭の良さをそぐことになるのかもしれません。

ひらめくこと、覚えること

もちろん、頭を使うこと、「わかった」と強く思うこと、ひらめくこと。
これらは脳を育てる大事な要素です。

学習はワーキングメモリを使い、前頭葉を刺激します。
「あっ、わかった!」というAHA体験時に脳が強く活性化し、海馬を中心とする神経ネットワークが組み変わることも知られいます。
実際何かを覚えるにつれ、海馬で新しい細胞が生まれます。

仲間とのやりとり

もうひとつ重要なのは社会です。コミュニケーションです。

ねずみを単独でエンリッチな環境においても、脳はそれほど重くなりません。
ねずみはそもそもコミュニケーションを盛んにとって生きていく生物ではないのですが、それでも仲間とのやりとりがなければ脳は育ちにくいのです。

日常的に運動すること、頭を使うこと、社会に参加すること。
これらは認知症になりにくい生活習慣でもありいます。脳には必須の習慣です。

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