2017.12.14

マイナス・ワンの法則

子どもを叱ったり、褒めたりが親の日常みたいなものですが、この叱り方でいいのかな、と思うこともありますよね。 今回は、そんな疑問への重要なヒントとなるお話をご紹介くださいます。

インスー・キムバーグ、褒めのカリスマ

カウンセリングの世界には、たくさんのカリスマがいます。
インスー・キムバーグもその一人。
韓国出身の女性で、夫、ド・シェイザーとともに解決志向ブリーフセラピーを生み出しました。

あるカリスマが生み出した方法が、ある人たちの感受性を直撃し、学ばれ真似られ広がっていく。
そうした流れが幾重にも重なり合って、カウンセリングという「芸」の世界が成り立っています。

インスーはコンプリメント(褒め)を中心課題とし、未来の解決を生み出していくカリスマでした。

友だちをたたいてしまった!

ある日、インスーは友人の家を訪れました。
偶然というか、その日たまたま友人のお子さんが暴力事件を起こしました。
幼稚園に通っている女の子が、友だちとけんかになって頬をたたいてしまったんだそうです。

お母さんは園に呼び出され、事情を説明されました。
お母さんは、子どもを叱り、相手の子やお母さんや園に親子ともども謝罪し、
子どもを連れて帰ってきました。

このお母さんの対応は当然で、非の打ちどころがありません。
してはいけないことをしてしまったら、ちゃんと叱り、頭を下げるところにはきちんと頭を下げ、子どもにもそうさせなければいけません。

二回たたかなかったのは、なぜ?

女の子も自分の非はわかっている様子でした。でも、口は開かず、何だか少しいじけていました。
お母さんにはその微妙なニュアンスがよくわかります。わかる分、腹が立ちます。 
「なんで、わからないの!」「ちゃんと、反省なさい!」

女の子はますますいじけます。

インスーはしばらくこの様子を見て、女の子にこっそり聞いたそうです。
「二回目をたたかなかったのは、なぜ?」

きょとんとしている女の子に、「二回も、三回もたたきたかったのに、一回でやめたのはすごいじゃない」。
背中がまるくなって、少しいじけていた女の子は、だんだん胸を張ってきました。
目を輝かせて、こう言ったそうです。 
「だって、人をたたいちゃいけないじゃない!」

こちらが望む理屈が彼女の口から出てきました。
しかも誇りを持って。

だったら最初からたたくなという話ではあります。
しかし、親なり先生なりに言われてそれがわかるということと、自分の頭で考え、自分の口でいけない理由を語ることはだいぶ違います。
だからこそお母さんも、心から反省してほしくて、しつこく怒るわけです。

マイナス・ワンを褒める

脳の中にはふたつのドーパミン系があります。
ひとつは黒質(こくしつ)から線条体(せんじょうたい)に向かう系。
無意識的な動作にかかわる系で、パーキンソン病ではここの働きが低下してしまいます。
もうひとつは、腹側被蓋(ふくそくひがい)から前頭葉に向かう快感にかかわる系。
線条体を介して、無意識的な動作と快感が結びつくような回路が脳内にはあるのです。

子どもの反省を、自発的な考えや行動に結びつけたいのなら、すでに起こっている子どもの考えや行動を利用するほうが楽です。それを見つけ出して褒めます。
すると、このふたつの系が結びつきやすくなります。

困ったことを二度としなかった理由、
マイナス・ワンの理由を尋ねるインスーの方法は、どんな場面でも使えます。
試してみてください。

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