篠原先生

2017.12.14

ノートは美しく、ゴールは遠く?

やっていることの見た目は同じでも、脳のはたらき方は大違い。
なぜそんなことが起こるのでしょう?
今回は、何が違うとそうなるか、実験による二つの例のお話です。

ノートは美しく?

『東大合格生のノートはかならず美しい』という本が話題になって、フジテレビの「とくダネ!」から依頼が来た。
「実際、東大生がノートをとっているときの脳はどうなんですか?」と。

上の図がそのときのもの。上段がくだんの本で紹介されていた東大院生が東大式?にノートをとっているときの脳。
中段はただ板書を写すだけの脳。
明らかに脳の活性度が違う。
脳にしばらくメモしておくときに活動する場所(前頭前野)、それから比喩表現や空間的位置関係の理解や出力にかかわる場所(頭頂連合野)が、東大式の方が圧倒的に活性化した。
自分の後々にとってわかりやすく、記憶しやすい空間配置や表現を考えてノートをとるとこうなるわけだ。
こういう場所が活性化すると記憶に残りやすくなるという報告もあるので、記憶の定着も促進されやすいのかもしれない。

興味深いのは下段。
本人は東大式並に頭を使いながらノートをとっているという。
なのに脳活動は低い。
実はこれ、パソコンを使ったノート書き。
これだけで結論付けるのは早計だが、パソコンだけだとこうなりがちなのは確かだから、子どもたちの基本はやはり手書きとしておいた方が無難だと思う。

ゴールは遠く?

下の図はNHK「クローズアップ現代」に依頼された実験。
巨大ディスプレイに次々光る光点をすばやくタッチする。
数回練習して目標点数を決め、本番。
その際、終了20秒前に「今○○点、ゴールは近いよ!」と声かけする場合と、「今○○点、ゴールは遠いよ!」と声かけする場合での比較。

左二列が「ゴールは遠いよ!」。
この方が明らかに脳の前頭葉と頭頂葉が活性化している。
前頭葉は能動的な注意に、頭頂葉は受動的な注意にかかわるから、ゴールが近いと思ってしまうと、注意がそがれやすいのかもしれない。

興味深いのは最下段。
この人は、「ゴール近いよ!」と「遠いよ!」にあまり差がない。
実は、こちらのミスで、目標設定と声かけについてきちんと伝えるのを怠っていた。
目標は高く、遠く、叱咤激励は、特にゴール直前では必要なのだろう。
しかし、その場合、目標についての相互理解を怠ってはせっかくの叱咤激励も無意味になるわけだ。

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