親野智可等先生の子育て診断テスト

2017.12.06

楽しくなかったはずなのに、日記の最後に「楽しかったです」と書いてある。どうする?

A子さんが子どもの日記を見たら、次のように書いてありました。

「日曜日に家族で遊園地に行ってきました。お父さんは前の日に会社で嫌なことがあったらしく、なんだか不機嫌そうでした。妹が観覧車のところでふざけたので、お父さんに怒られました。それを見て、わたしとお兄ちゃんは、こっそり『今日はお父さんイライラしてるから気を付けたほうがいいみたい』と話し合いました。でも、その後すぐに、お兄ちゃんとわたしはお菓子の取り合いをしてお父さんに怒られました。せっかく話し合ったのに、と思いました。今日は楽しかったです」

これを読んで、A子さんは「今日は楽しかったです」というところが気になりました。日記は正直に書くべきだと思うからです。

あなたならどうしますか?

【A】「日記は正直に書いていいんだよ。ここは『今日はつまらなかったです』がいいんじゃない?」と言う


【B】「日記は正直に書いていいんだよ。ここは本当の気持ちではないでしょ?」と言う

【C】そのままにしておく

診断結果

【A】日記は正直に書いていいんだよ。ここは『今日はつまらなかったです』がいいんじゃない?」と言う

日記は正直に書いていいと教えることは大事です。
でも、これではおせっかいが過ぎます。
それに、この日記は正直に書いていないとは言えないと思います。

【B】「日記は正直に書いていいんだよ。ここは本当の気持ちではないでしょ?」と言う

Aほどではありませんが、これもおせっかいです。

【C】そのままにしておく

この子は、お父さんがイライラしていたことや自分たちが怒られたことをずっと正直に書いてきて、それでも最後に「楽しかったです」と書いています。
子どもの書くものにはこのようなものがけっこうあります。
大人が読むと不自然に感じられるのですが、子どもがこう書くのには理由があります。
それについては、下の解説をお読みください。

解説

子どもは技術が未熟なだけです。
「楽しかったです」には、深い意味があります。
いちばんいいのは、です。

子どもが最後にこういうことを書くのは、嫌なことを書いたまま終わりたくないという気持ちがあるからです。
つまり、自分の精神衛生上よくないので、最後にハッピーエンドにしてバランスを取っているのです。

 

これは、大人の書くいろいろな文章でも同じです。
また、漫画、テレビドラマ、ドキュメント番組、映画なども、そのほとんどがハッピーエンドで希望を残して終わります。
途中がどんなに悲惨でも、最後はハッピーエンドにしたいというのは本能的な欲求なのです。
ただ、子どもは技術が未熟なので、よくないことを書きつらねた後で突然「楽しかったです」になるのです。

 

もしこれを禁止すると、かえって途中を正直に書けなくなる可能性があるのではないでしょうか?

「大人に読まれることを意識して、気をつかっているのではないか?」「もっと正直に、つまらないものはつまらないと書けるようにしてあげたい」などの意見もあると思います。

もちろん、そういう面もあると思います。
でも、誰かに読まれることはわかり切っているのですから、完全に内面のすべてをさらすような日記は子どもでも書けないのです。
それは、子どもといえども人前で裸になれないのと同じです。
もし書けるとしたら、社会性など別の面で問題があると言えます。

 

わたしはこの日記は十分正直に書いていると思います。
ですから、正直に書くことの大切さを教えたいなら、正直に書いている部分をほめてあげればいいのです。

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