ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.12.06

認知症予防になる習慣と食事

認知症予防にいいことと、子どもの脳の発達に必要なことは近いもののようです。
今回は、親子それぞれに有益なことをくわしくお話しくださいます。

認知症予防にいいと認められた日常生活は

今回は、「中高年にとってどういう日常生活や食事が脳を守るらしいのか」から始まって、子どもの食事とIQについてお話したいと思います。

「○○が認知症予防にいい」といった研究もだいぶ蓄積されてきたので、そうした研究の証拠の程度を評価しようという動きがあちこちで起こっています。そのひとつとして、アメリカ国立衛生研究所は2010年4月、「アルツハイマー病と認知機能低下の予防」をテーマにした会議を開き、それまでに研究されたこのテーマに関する原著論文250について報告書をまとめました。

その報告書で、アルツハイマー病や認知機能低下の危険性を低めることが認められたものとして、
認知的活動高い身体活動地中海風料理、葉酸、
スタチン(高コレステロール血症治療剤)、高い教育歴、軽度から中程度の飲酒、
が挙げられました。

一方、危険性を高めることが認められたものとして、
APOEε4遺伝子、プロジエステロンとエストロゲンの併用、非ステロイド系の抗炎症剤、
うつ状態、糖尿病中年期の高脂血症、男性の頭部外傷、
殺虫剤、未婚・乏しい社会支援現在の喫煙
が挙げられました。

この報告を、日常生活と脳という観点からざっくりまとめれば、「頭を使って」「体を動かし」「生活習慣病予防をして」「人とかかわる」ことが、脳機能低下にとって予防的だと考えられるわけです。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2011年7月号に掲載されたものです。

地中海風料理は脳を守る?

この報告でも有効とされている地中海風料理ですが、欧米ではその有効性を示す報告がきわめて多く、そこでそのうち何が有効と考えられ、何はおすすめできないのか精査しようという研究も行われています。

たとえば、Yian Guらの研究では、サラダドレッシング、木の実、魚、トマト、鶏肉、ブロッコリー類の野菜、果物、濃い緑の葉野菜を多くとり、脂肪の多い製品、赤肉、臓器肉、バターを少なくとる人にアルツハイマー病が少ないとまとめています。

つまり、単価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)、3価不飽和脂肪酸(リノレン酸など)、6価不飽和脂肪酸(DHAなど)、ビタミンE、ビタミンB12、葉酸を多くとり、飽和脂肪酸を少なくとるのがいいらしいのです。

みなさんお気づきと思いますが、地中海食といっても別にイタリア料理である必要はなさそう。
二十年以上前から保健や栄養の先生が、生活習慣病予防に役立つ食事としてすすめてきたものです。

子どもの食事パターンとIQ

結局、脳も体で、歳をとるほどそうなっていくのです。そして子どもも同じらしいのです。たとえば、Kate Northstoneらは、3歳時点と8.5歳時点での食事パターンと知能(IQ)との関連を縦断的に調べ、3歳時点で脂や砂糖が豊富な食事パターンをとっていると8.5歳時点でIQが低下する傾向にあり、一方で、8.5歳時点で健康に気を使った食事パターン、たとえば、サラダ、米、パスタ、魚、果物などバランスのいい食事をとっていることは、IQの上昇と関連したそうです。

どうも中高年が脳を守るのに必要なことと、子どもの脳の発達にとって必要なことはかけ離れたことではなく、相当に近いものらしいのです。学校からくる保健だより、ゴミ箱に直行させることなく真面目に読みましょう。表題を「脳にいい……」と書き換えてもほぼ成り立ちますから。

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