ヒゲおやじ先生の脳コラム
幼児の脳に必要なこと
幼児ポピーの監修・指導をされている篠原先生が、毎回、脳を育てるヒントをくださるコラム。
今回は、ポピーをする上でも重要で基本的なお話です。
脳の発達パターン
子どもたちの脳を5歳から30歳くらいまでMRIで追いかけると、脳の発達には三つのパターンがあることがわかります。一つ目は5歳以前に発達のピークがあると思われる部位。図の青いところで(①)、顔の見わけや表情判断、好き嫌いにかかわる脳部位です。幼児にとってお母さんや、自分を守ってくれる人を見わけ、その人と楽しい気持ちを共有することが大きな課題ということになります。
二つ目は8~10歳くらいが発達のピークになる部位(②、赤い部分)で、知的活動に深くかかわる部位です。三つ目は思春期から大人にかけてゆっくりと発達する部位(③、緑の部分)。自分というものをきちんととらえたり、他人の立場を考えたり、逆に内臓的な不快感を感じたり、まさに疾風怒濤の青春時代の心の動きにかかわる脳部位が発達します。心の根っこがまず育ち、それから知的部位が発達し、再び心にかかわる部位が完成していく、これが脳の発達パターンです。
幼児期の課題
ですから、5歳までの脳にとっての課題は、母親などとの心地よい関係を背景にしながら、何かを好きになっていくこと。生涯を通して脳にとって必要な、頭を使うこと、体を動かすこと、人とかかわることが好きになることです。決して「~ができるようになること」が目標ではありません。同時に、これから訪れる、知的活動にかかわる部位の急激な発達に備えて、知的活動の基礎を築くことです。
『あおどり』『あかどり』『きいどり』が、「わぁくん」「ドリるん」二冊になっているのは、「わぁくん」では頭を使うこと、体を動かすこと、人とかかわることが好きになることに主眼を置き、「ドリるん」では知的活動の基礎をつくることに主眼を置くためです。どちらも幼児の脳の発達に欠かせないからです。
「わぁくん」で心を共振させる
「わぁくん」では、絵本を読む、自然を感じる、世の中を感じるなどを親子で行うことで体験を共有し、お互いの心がシンクロするような体験を通して、読むこと、想像すること、外の世界に関心を持つことなどを、子どもが好きになるよう目指しています。
実際、親子で「わぁくん」をしているときの脳活動では、お互いの脳が共振しながらリラックスしていくのがわかります。子どもでは想像力にかかわる脳部位の活動が目立ちます。リラックスして何かをすることは、何かを好きになる基礎条件ですから、「わぁくん」はそれを提供しています。
「ドリるん」で脳のメモ帳を育てる
一方、「ドリるん」の主眼は知的活動の中核機能、ワーキングメモリを鍛えることにあります。ワーキングメモリは記憶や情報をいったん頭において、組み合せて何らかの答えを出す機能。作業ができる脳のメモ帳で、前頭葉の外側が特にかかわることが知られています。実際、「ドリるん」をしているときの子どもの脳ではこの部位の活動が活発です。ワーキングメモリトレーニングによって子どものIQが高まることも知られていますから、「ドリるん」は優れた就学準備になります。
ただしここでも目標は「できる」ことではありません。ワーキングメモリを使うような頭の使い方を好きになることが目標です。絶対に嫌いにはしない。ここでのポイントも親子で心を通わせながら行うことです。
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