ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.12.04

自然の中に行こう

本格的な夏が近づいてきましたね。今年の夏は、ご家族そろって大自然の中で過ごすというのはいかがでしょうか。

自然体験は、脳にも良いそうですよ。

自然は脳を働きやすくする

2008年にミシガン大学のBermanらによって興味深い実験が報告されています。自然の中を歩いたり、森や湖など自然の写真を見たりするだけでワーキングメモリの力(記憶や情報を一時的に脳にメモしながら、それらを組み合わせて何らかの結果を出す力:考える力の中核の力)や注意力が増すというのです。

昔から自然な環境と都会的な環境の違いについてこんな仮説が提出されています。ART仮説(注意回復仮説)と呼ばれるものです。

それによれば、都会的な環境は意図的に注意を引こうとする刺激に満ちており、脳はトップダウン型で強制的に活動させられる。その一方で、自然環境は五感からの優しいボトムアップ型の刺激。都会から自然の中に帰っていけば脳が休まり、結果、かえって注意力などの機能が回復するという仮説です。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2012年7月号に掲載されたものです。

森の散策でワーキングメモリ力アップ

Bermanらはこの仮説を確かめるために、被験者を〈森の中を50~55分散策するグループ〉と〈町を50~55分散策するグループ〉に分けました。そして、散策の前後で数字逆唱課題にチャレンジしてもらいました。

数字逆唱課題というのは、たとえば389157を読み上げて、逆から言ってもらう課題です。
3桁ができたら4桁、4桁が出来たら5桁と桁数を上げていき9桁までチャレンジします。この課題では、数字を一時的に脳にメモして、逆から読むという作業を行うわけで、代表的なワーキングメモリ課題です。

さて、実験の結果、街中散策でも森の散策でも数字逆唱課題の成績は伸びたのですが、森の散策の方がより大きく伸びました。

写真を見るだけでも注意力アップ

次に彼らは、街中の写真50枚を見た場合と自然の写真50枚を見た場合の前後で、数字逆唱課題とANTと呼ばれる注意力課題の成績を比較しました。

ANT(注意ネットワーク課題)は図のようなものです。

画面の上段または下段に矢印が出て、その矢印の真ん中のものがどちら向きかを答えます。ちょっとひねってあって、全部の矢印が同じ向きの場合()と、真ん中だけ逆向きの場合()があります。つまり周りに惑わされず答えられるかを見る課題です。
その結果、自然の写真を見たグループの方が数字逆唱課題、注意力課題ともその成績が大きく改善していました。

自然体験で生きる力向上

以前にも紹介しましたが、子どもたちにキャンプ活動など自然体験をさせると「先を見通して、自分で計画が立てられる」「人の話をきちんと聞くことができる」「自分勝手な、わがままを言わない」といった「生きる力」が伸びますから、この夏はぜひとも親子で自然の中でお過ごしください。
どうしても難しい場合は『わぁくん』を見て外を散策しましょう。
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