ヒゲおやじ先生の脳コラム
まご育ては立派な脳トレ
※今月のおたよりテーマでご紹介のイクじい・イクばあ。その活躍は立派な脳トレになるという今回のお話をご両親に伝え、みなさんの将来にもお役立てください。
※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2013年3月号に掲載されたものです。
健康な高齢者の姿は
私の住んでいる長野県は健康県です。高齢者のみなさんが、そこかしこでウォーキングをしていたり、ゲートボールしていたり、農作業をしていたり。そんな姿をあちこちで見かけると、健康を支えるのはやはり日々の運動だなと思います。
そして運動は立派な脳トレ。ウォーキングや筋トレが認知機能(いわゆる頭の働き)の低下やアルツハイマー病を予防することがよく知られています。
日々の身体活動も脳トレ
さらに、最近の研究で、皿を洗う、料理をする、掃除をする、庭の手入れをする、トランプ遊びをするなどの日常的な軽い身体活動の積み重ねが、認知機能(頭の働き)低下のリスク(危険度)を小さくしてくれることがわかりました。
ラッシュアルツハイマー病センターのバッハマンらは、アクティグラフという家事や編み物のような小さな身体活動量まで測定できる腕時計型の装置を使って、平均年齢82歳の高齢者716人について約4年間の追跡調査を行いました。
その結果、ウォーキング、筋トレ、テニスなどのいわゆる運動を除いても、日常生活での身体活動量が多いほど認知機能が低下しにくかったそうです。また、日常生活での身体活動量が最も少なかったグループは、最も多かったグループに比べて、アルツハイマー病のリスクが2倍以上になったそうです。
年なんか気にしないのが大事
というわけで、まご育ては祖父母にとって立派な脳トレです。そしてまご育てのとき、おじいちゃんおばあちゃんは「もう年だから」とは思わない方がよさそうです。
心理学者のトーマスとディボスはおもしろい実験を報告しています。彼らは、高齢者に文脈的につながりのある単語リストを提示しました。
「文脈的につながりがある」とは、たとえば「ベッド」「休む」「起きる」「疲労」「夜」などの単語リストで、この場合はみな「睡眠」にかかわります。
このように文脈的なつながりのある単語リストを並べると、実際には単語リストになかった「睡眠」という単語が、単語リストに「あった」と思い込みやすくなります。
余談ですが、この間違った思い込みが「言った」「言わない」の夫婦?げんかの主たる原因になったりするのでご注意ください??
じいちゃん、ばあちゃんはいつでも現役
それはさておき、トーマスらは被験者を2グループに分け、一方のグループにだけ、このテストは記憶を調べるもので、高齢者の方が若者より記憶力テストの成績が悪い傾向にあることを伝えました。そしてもう一方のグループには、記憶と年齢に関する話はしませんでした。
すると、年をとると記憶力が落ちると教えられたグループが、間違った記憶を余計にしがちになったそうです。
年をとったから記憶力が落ちているという思い込みが、実際以上に記憶力を低下させてしまうのです。すんなり思い出せるときはいいですが、ちょっと思い出しにくいとき「年のせい」と思うと、その思いが邪魔をしてますます思い出しにくくなるのです。
ならば「年のせい」などと思わないのが賢明。「年だから無理」などと思わず、生涯現役、あれこれチャレンジすることが祖父母の脳を守るのです。
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