ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.12.01

ポピーは実験しています

幼児ポピーの監修・指導をされている篠原先生が、毎回、脳を育てるヒントをくださるコラム。今回は、ポピーをしている親子の脳活動についてのお話です。

毎年実験をする理由

私たちは2006年から毎年、私の大学(諏訪東京理科大)で、「幼児ポピーを使っているときの脳活動」をfNIRS(機能的多チャンネル近赤外線分光法装置)を使って測定しています。幼児ポピーを皆さんにお勧めする限りは、お勧めする教材を使っているときの子どもたちの脳活動を調べ、その結果を踏まえてポピーを改良したり、その使い方を提案したりする責務があると考えているからです。これまでの研究をかいつまんでご紹介します。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2013年4月号に掲載されたものです。

ポピーは前頭葉、頭頂葉を活性化する 〔2006〕

まず2006年は最初の実験ということで、ポピーの主要コンテンツ、お話、見つけ、迷路、ぬり絵、文字、言葉、数、ごっこ遊びなどを行っているときの脳活動を調べました。その結果、私たちの狙い通り、子どもの脳の発達にとってキーとなるワーキングメモリ(作業記憶)にかかわる前頭葉、頭頂葉などを中心に活性化が認められました。また、親の前頭葉も活性化しており、特に子どもが問題で行き詰まり脳活動が低下すると、それを親が察知して脳活動を高め適切にサポートして子どもの脳活動が回復する場面が観察されました。つまり、親子で学ぶポピーは相互作用であり、親にとっても脳トレーニングであることがわかりました。

親子から子ども単独へ、右の脳から左の脳へ 〔2007〕

2007年は「見つけ、間違いさがし」課題を中心に、親子で行う場合と子ども単独で行う場合、また学齢進行につれ脳活動がどう変わるかを調べました。その結果、学齢が進行するにつれ脳活動が右の脳から左の脳に移っていきました。これは学齢が進むにつれ、理屈立てて考えられるようになっていくことを示しています。また親子での学習に比べて子ども単独の方が左の脳に活動の中心が移る傾向にあり、小さいうちは親子で、自力で考えるようになったら子どもに任せていく、その見極めの大切さがうかがえました。

共感力、抑制力、論理力、抽象力は前頭葉課題 〔2008〕

2008年は「ももちゃん」のコードを使って、音の「有」と「無」との比較をし、音「有」の方が子どもの注意関連の脳部位の活動が高まることが認められました。また、空間認識課題、言葉遊びや付録のトントン相撲などの遊びは、脳はリラックスしつつも想像力にかかわる部位の活動が高まっていました。さらに年長で取り上げた、共感力、抑制力、論理力、抽象力の各課題で、前頭葉を中心におおむね狙い通りの脳活動が確かめられました。

ポピーは生きる力を高止まりさせる 〔2009〕

2009年は幼児~小学六年生のポピーユーザーの「生きる力」を文部科学省などでも使うアンケートで調べました。その結果、ふつう小学校高学年になると低下する「生きる力」が、ポピーユーザーでは高いままで維持されており、ユーザー歴が長いほどその傾向がありました。また幼児ポピーで取り上げている「柳澤運動遊び」をしているときの脳活動も調べ、学習時以上に前頭葉などの活動が高まることが認められました。幼児期の運動は大切です。

親子の相互作用が大事 〔2010~〕

2010年からは親子でポピーを行うことの意味を調べています。たとえば2010年はお母さんに「○つけ」をしてもらうと、子どもの脳がより活性化することを確かめました。また2011年は親子でポピーを行うことで子どもはリラックスし、不要な脳活動が低下して頭を働かせやすくなり、頭を使うのが好きになることにつながるのではないかと考えられました。そこで今回(2012年)は課題選択も親子に任せ、観察的に親子の脳活動を調べることにしました。
その結果をまとめるとこんなことが言えます。

●ポピーを長い時間やっていると、落ち着いてくる。不要な部分の脳活動が下がり、課題に応じて必要な部位の活動がきちんと上がってくる。
●ポピーを使っているとリラックスし、ストレスが減り、集中が高まる。
●考えるのをやめたり、詰まったりしているときに親のサポートや声かけがあると、子どもの脳活動がそれに応じて高まっている。親子で呼応する活動が認められた。
●子どもの方の反応が一見ないように見えても、実は考えている場面がある。きちんと脳が活動している場合がかなりある。だから反応がないとあせらずに待つことが大事。

まずは親子でポピー、押したり引いたりで自主学習化。これが王道でしょう。

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