ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.12.01

読者の質問にこたえて

今回は、3月号の読者アンケートで寄せられた「先生に聞いてみたいこと」の中から、二つの質問にお答えいただきました。みなさんも参考にしてくださいね。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2013年7月号に掲載されたものです。

Q 外遊びは脳にどんな刺激を与えますか?

最近、外遊びをしない子が目立ちます。外遊びが脳にどんな刺激を与えるか、しない子はどんな脳になっているのか、お聞きしたいです。
(東京都●ぽぴーママさん)

A:「がまん力」「生きる力」が向上、無理のない範囲で外遊びをさせましょう

「外遊び」は大切ですね。以前、信州大学の人たちと夏休みのチャレンジキャンプが脳に及ぼす影響を調べたことがありました。がんがんアクティブに外遊びをするとどうなるかを調べたわけです。
結果、GO/NO‐GO課題という前頭葉の働きにかかわり、「がまん力」や「切り替え力」の指標にも使われるテストで違いが出ました。30泊31日のキャンプでも4泊5日のキャンプでもGO/NO‐GO課題の成績が改善しました。普通に休みを過ごした子たちでは変化がないにもかかわらずです。
また青少年自然の家とオリンピック記念青少年総合センター(*)の調査によれば、野外体験によって「物事を前向きに考えられる」「きちんと人の話が聞ける」などの項目で測られる「生きる力」が伸びることが明らかになっています。しかも期間が長ければ長いほど、トラブルがあればあるほどその効果は高いのだそうです。
まさに「かわいい子には旅をさせろ」「かわいい子には外遊びをさせろ」です。
しかしだからといって「外遊び」が嫌いな子に無理やり外遊びをさせるのはどうかと思いますし、外遊びが出来ない環境にいる子もいます。また「外遊び」をしないと脳がダメになるなんてことは、脳の、どのような環境でも見事に適応してみせる柔軟性からみてあり得ません。
そのあたりを踏まえた上で「かわいい子には外遊びをさせろ」です。

*いずれも現在は国立青少年教育振興機構。

Q 耳で聞いたことの覚えが弱いのですが改善法は?

うちの子(6歳)は、目で見たことは覚えていますが、耳で聞いたことは覚えが弱いようです。読み聞かせも、絵を見せずに読むほうがいいのでしょうか?何か訓練する方法はあるのでしょうか。
(愛媛県●あほみあさん)

A:子どもの応答を引き出すような「双方向の読み聞かせ」をしてみましょう

最近アメリカで、出産から入学前までの期間でどういう介入を行うことが子どもの知能を伸ばすのか、いくつかの研究を統合して評価する研究が行われました。その結果を見ると、早期教育、保育園・幼稚園通い、長鎖多価不飽和脂肪酸(DHAやアラキドン酸など)と並んで、「双方向の読み聞かせ」が子どもの知能を伸ばすと結論付けられていました。
「絵を見せずにする読み聞かせ」もなかなかにいい方法だと思いますが、双方向の読み聞かせに持ち込めるともっといいですね。お母さんの後をついて読ませたり(もちろん楽しくですが)、「わー、どーなるんだろねぇ」「悲しいね」などと言葉がけをして子どもの応答を引き出すといいですね。
脳は出力依存性を持っていて、ただ受け取るよりは表現する方がよく覚えますし(受験勉強でひたすら覚えるより、誰かに口に出して説明した方がよく覚えられるのはこのためです)、自分から外の世界に働きかけることで飛躍的に発達するからです。

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