ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.11.16

ゲームの時間はどれくらい?

今回は、大変気になる子どもとゲームのお話です。さまざまな研究を紹介してくださりながら、最後にアドバイスも!

じっくり読んで参考にしてくださいね。

子どもにゲームをさせてもいいか?

子どもにゲーム(いわゆるビデオゲーム)をさせてもいいのか、いいとしたら時間制限は?
子育て系の講演会でよく質問される話題です。すぱっとお答えできれば、質問された方も私自身もお互いすっきりするのですが、残念ながらそう歯切れのよい答えはできません。 ゲームと子ども(あるいは大人)の知能や脳について、さまざまな研究が行われているのですが、「ゲームは脳を発達させる」という結論から、「言語性知能が低下する」といった結論まで、その主張は多様です。

ゲームで前頭前野が発達する?

たとえば、オランダ、ヘント大の研究では、152人の14歳を対象としてゲームに費やす時間とMRIによる脳の厚みの関係を報告しています。その結果、毎週ゲームに費やす時間(自己申告による)と左側の脳の前頭前皮質背外側部(ぜんとうぜんひしつはいがいそくぶ:知的活動の中核として知られ、脳トレでターゲットになる脳部位)と前頭眼野(ぜんとうがんや:注意力にかかわる脳部位)の厚さとの間に、相関が認められたそうです。たくさんゲームをする14歳ほどこれらの部位の灰白質(脳細胞が密な場所)が厚かった(発達した)というのです。

いや、学業成績は低下する?

一方で、同じ14歳の時のモニター対面時間(ゲームだけでなくテレビ視聴、PC、スマホ使用を含む)が多くなると、学業成績が低下するといった相関関係が英国から報告されています。国内では、長時間のゲームが、前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ)、記憶にかかわる海馬(かいば)、やる気の中核・線条体(せんじょうたい)を含む大脳基底核(だいのうひていかく)にネガティブな影響(繊維連絡が疎になる)を与え、言語性知能を低下させるとする東北大の報告もあります。

週9時間以内?

スペイン・バルセロナに住む親に、7~11歳の男女2400人超のゲームの習慣を報告してもらい、反応時間やMRIによる解析とのかかわりを調べた研究では、小児の約6分の5は週に1時間以上ゲームをする「ゲーマー」で、残りは「非ゲーマー」、ゲーマーは非ゲーマーよりも反応時間が早かったそうです。しかも、小児260人のMRIでは、ゲームをすることは、大脳基底核の白質の変化を生み、その変化は学習による脳の回路の伝達の改善に関連したそうで、実際、ゲーマーは非ゲーマーより学業成績が有意に高かったそうです。
東北大の研究とは相反する結果ですが、このスペインの研究でも、ゲーム時間が長い小児ほど睡眠時間が少なく、ゲームをする時間が週9時間以上になると、他の小児との衝突など社会的行動の問題が生じる可能性が高まったそうで、週1~9時間のゲームは安全だと思われるが、9時間超えは勧められないとしています。
東北大のゲーム時間が増せば言語性知能が低下するという研究も、実際のグラフを見れば、長時間ゲーム者の影響が強いので、まあ、週9時間が限度かもしれません。
もっとも、これらの研究は相関研究(こちらが増えたとき、あちらが増えるといった関係研究)といわれるもので、因果関係(何が原因か)を示すものではありませんから、あくまでご参考までに。その意味でいえば、遺伝的に近い親御さんが大丈夫だった範囲の内々にゲーム時間を収めておくのが無難かと思います。
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