ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.12.01

人の気持ちを推測する

人の気持ちになって考えることについて、今回は「おくってバンバン!」(p.14)から説き起こしてくださいました。さて、どんなつながりがあるでしょう。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2014年7月号に掲載されたものです。

あした おともだちに はなしたいことは なあに?

今月の「おくってバンバン!」は「あしたおともだちにはなしたいことはなあに?」の発表です。「今日、6歳になったよ」「大好きだよ、ごめんね」「歯ブラシを買いに行くんだよ」「こころちゃん、一緒にお弁当食べようね」とほほえましいお答えが並んでいます。 「明日お友だちに話したいことはなあに?」と質問されると、子どもたちの脳はフル回転します。特に活動を高めることが予測されるのが、眼窩前頭前皮質(がんかぜんとうぜんひしつ)、目の奥の上あたりにある脳です。図Aの青い色の所です。ここは他人のこころを推測するときに働きます。

サリーとアンの課題

子どもに人形劇を見せます。主人公はサリーとアン。サリーはおもちゃで遊んでいて、アンは見ていました。しばらくするとサリーは帰る時間になったので、おもちゃをおもちゃ箱に片づけて帰りました。アンはその後、そのおもちゃを出して遊び、机の中に入れて帰りました。 さて、翌日、サリーがおもちゃを探すとき、どこを探すでしょうか?

こころの理論

そう、「おもちゃ箱」です。簡単に思えるかもしれませんが、2、3歳では「机の中」と答える方が多く、3歳くらいになると半々になり、4歳になると、ほとんどの子どもが「おもちゃ箱」と答えるようになります。 サリーの気持ちになることが出来ないとこの問題はできないわけで、この問題は誰かの心を想像する「こころの理論」が子どもの中に育っているかを調べる「こころの理論」課題として知られています。 もっとも、最近の研究では、質問の意味が分からなくて答えられない場合があることがわかってきて、おもちゃ箱と机のどちらを長く見ているか視線を調べてみると、遅くても1歳半で、子どもたちは「おもちゃ箱」を長く見つめるようになっているので、1歳半には「こころの理論」が備わり始めていることが明らかになっています。

人の気持ちを推測する質問をしよう

そして脳画像研究から、こころの理論課題を行っているとき活動するのが眼窩前頭前皮質で、その発達のピークは図Bの青いグラフが示すように、5歳前であると推測されています。 「明日お友だちに話したいことはなあに?」「○○ちゃんはどう思っているかな?」「○○ちゃんはどうすれば喜ぶと思う?」、こんなふうに誰かの気持ちを推測する質問をしてみましょう。答えられなくても、子どもの眼窩前頭前皮質は活動を高め、他者のこころを推測する力をつけていきます。

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