ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.11.30

「ひらがな・すうじ体操」いいですね

「親子で楽しく」の『ポピっこ』ですが、なぜ「楽しく」が大事なのかが今回のテーマです。お話を頭に置きながら、文中にご紹介の動画もぜひご覧ください。

学習の初期には楽しさが必須

最近、自然科学研究機構 ・生理学研究所の西村先生らによって、側坐核(そくざかく・図参照)という快感ややる気に強くかかわる脳部位の活動がリハビリに必須であることが明らかになりました。側坐核はこの連載で「やる気」の中核として紹介してきた線条体(せんじょうたい)の腹側にあり、腹側線条体の一部でもあります。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2016年3月号に掲載されたものです。

さて、西村先生らは、脊髄損傷によって手が動かなくなったサルのリハビリをおこないました。そしてものをつまむことが困難であったサルが、ある程度つまめるようになったときに、側坐核の働きを薬によって止めました。するとリハビリ効果が消失して、つまめたものがつまめなくなってしまったのです。この現象はリハビリ中に特有なことで、健常なサルでは側坐核の動きを止めても、ものは楽につまめます。
また、リハビリ中のサルで側坐核の活動を止めたとき、筋肉の動きをコントロールする運動野(うんどうや)の活動も低下してしまうことが見出され、少なくともリハビリの初期には側坐核と運動野が結びつきを持っており、その結びつきを通してリハビリが達成されていくと考えられたわけです。
この議論を拡張すれば、既に学習されたことを行うには側坐核の活動は不要だが、何か新しいことを身につけようとする時には側坐核の活動が必須。快感ややる気なしには新しいことの学習が困難だと考えられるわけです。仕事でも覚えきってしまったことならやる気なしでもできますが、覚えるときにはそれなりのやる気や楽しさが必要ということです。

ひらがな体操・すうじ体操

さて、幼児ポピーの動画サイトをのぞいてみると、「ひらがな体操、すうじ体操」なる動画がアップされています。お姉さんが、書き順を間違えやすいひらがな、「はね」に気をつけるひらがな、書き順を間違えやすい数字などを、全身を使って教えています。
「書き取り」「数字の学習」などというと「まじめな」「真摯な」学習が頭に浮かびますが、このような楽しさも必要です。すでに述べたように学習の初期では、快感ややる気にかかわる側坐核の活動が必須だからです。また、幼児ポピーでずっとお話ししてきているように、幼児期の脳にとって大事なのは、できるようになることより、好きになること。
そう考えると、「ひらがな・すうじ体操」は、ひらがな学習、数字学習の初期に非常におすすめです。こうした体操を楽しく行うとドーパミンの分泌も増し、記憶に関係する海馬の働きも高まりますし、「運動野⇔線条体⇔小脳」からなるいわゆる「技の記憶」ルートも活性化して、ひらがな・数字の書き順が技の記憶としてしっかり記憶されやすくなります。もちろん、書き順などの技の記憶を定着させるには繰り返しが必須ですが、初期段階での記憶づくりには役に立つと思います。今後、こうした動画がもっと作られてもいいと思います。
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