篠原先生

2017.12.14

行進もだいじです

事件の報道などで「キレる子」というキーワードに接すると、不安になったりしますよね。
そんな子にならずにすむ対策の中から、今回は、運動会シーズンにピッタリなお話です。

キレる脳を防ぐ

昨年、NHKクローズアップ現代で、「脳科学で防ぐ、キレる子」という放送がありました。

脳には感情をつくる扁桃体と、それをコントロールする前頭前野があります。扁桃体は好き嫌いや情不動に深くかかわり、ルドーによれば生物学的な価値判断をするところです。
ここが十分に育たないと安定的な感情が得られず、異常な恐怖反応が出て暴走したり(突飛な逆ギレなど)、逆に正常な恐怖を失って冷静に逸脱行動を行ってしまいます(冷静な連続殺人など)。
一方、前頭前野は扁桃体などの制御を通して、行動や感情の制御をします。

どうしたら、扁桃体や前頭前野を健全に育てることができるか?
それが放送のテーマでした。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2007年10月号に掲載されたものです。

愛とコミュニケーション

二つの実験が紹介されました。

ひとつは富士大の小野先生らの扁桃体実験です。
サルの実験ですが、扁桃体は笑顔に対して強く反応しました。
また、同じ笑顔でも、飼育者の笑顔に特に強く反応しました。
このことから、身近なものとの、特に親子間での愛情関係が、扁桃体を刺激し育てる上で重要であろうと示唆されました。

わたしたちの前頭前野実験も紹介されました。
将棋などのゲームをPC相手に行う場合と、生身の相手と行う場合の前頭前野の活動の比較です。
光トポグラフィ装置を使った実験ですが、結論としては、生身の人を相手にしたほうが前頭前野が強く活動するというものでした。
ここでもコミュニケーションの重要性が指摘されたわけです。

行進ができない

この番組では、幼児期のじゃれつき遊び、少年院でのロールプレイによる相手をおもんぱかる訓練なども紹介されました。
バーバル(言語的)、ノンバーバル(非言語的)を含めた多様なコミュニケーションをしておくことが大切だったというわけです。

この放送で、わたしにとって印象的だったのは、少年院での号令にあわせた行進の光景です。
軍隊的でいやな感じがしないでもないのですが、前や隣の人にリズムを合わせて行進することができない子が多数いるのです。強制に反発して行進をしないのではなく、できないのです。

実は、周りに同調し、周りのリズムに合わせることは高度な脳の作業です。相手のリズムをミラーニューロンなどで読み取り、再現する。
それが無意識にできてしまえることこそ、コミュニケーションの基礎なのです。

運動会の入場。
歩調を合わせて、いちに、いちに。

くだらないと思う親御さんもいるかもしれませんが、とても重要です。
幼児~小学低学年までに身につけなければならない最重要課題といっていいかもしれません。
うまくできたら思いっきりほめてあげてください。

  • ポピー公式HPトップ
  • ポピー子育ておうえん隊
  • 幼児向け連動動画
  • 高校入試情報
  • ポピっこアプリ紹介
  • 公益財団法人 日本教材文化研究財団