篠原先生

2017.12.14

あがいているときが成長?

何かがうまくできるのは、脳がフル回転しているから……とは違うようです。
どんな状態のときによく脳がはたらくかという今回のお話は、子どもをほめるタイミングの参考にもなりますよ。

マス計算も慣れると脳が鎮静化します

慣れると大脳新皮質の活動は低下していきます。

画像[1]の左の列は、1分のマス計算を行っているときの左脳です。右の列は右脳です。
それぞれの画像の上側が前頭葉側です。

1段目が1回目のチャレンジ、2段目は2回目、3段目は3回目、4段目は4回目、5段目は5回目のチャレンジです。
赤いところが活性化しているところです。
赤の色の濃さが活性度合いだと考えてください。

一目瞭然ですが、回数を重ねるにつれ、脳の活性化の度合いが小さくなっていきます。

身体を動かす課題でも

身体を動かす課題でも同じような現象が出てきます。

画像[2]は、「鼻耳チェンジ」のときの脳です。
鼻耳チェンジは、まず右手で鼻をつかみ、左手で右耳を触ります。
腕がクロスした状態で、チェンジと言われたら、その左右を入れ替えます。
しかも、この実験では、そのチェンジの間に拍手をします。
1回、2回、3回、4回……とどんどん増やしていきます。

これも同じく、左の列はその時の左脳、右の列が右脳です。
各段がチャレンジの回数です。
下に行くほど回数が重なり、活性化度合いが小さくなります。
そのくせ、パフォーマンスは向上していきます。
マス計算も同じで、下の段ほど計算の個数は増えています。

大脳新皮質の活性化から鎮静化のプロセスの中で成績は良くなっていき、脳が自然にできるようになっていくわけです。

あがいているときほど脳は活性化している

脳が自然にできるようになっていくこと、パフォーマンスが向上すること、成績が良くなること。
わたしたちはそのことを目標にしがちです。
また、それは子どもにも出来るようになることを求めてしまいます。

もちろん、それが間違っているわけではありません。
出来るようになることを目ざし、努力を重ねて出来るようになっていく過程が重要なのです。
子どもの脳がもっとも活性化しているのは、出来るようになったときではなく、むしろ、うまくできずにいるときです。
途方に暮れ、困っているときです。
そのときにこそ、脳が活性化しているわけです。

脳の活性化が子どもの脳の成長やわたしたちのアンチエイジングに不可欠だとするならば、うまくできずにあがいているそのときにこそほめてください。
感心してください。
そうすると、行動と快感が結びつける線条体が働き、子どものやる気が育っていきます。
自分が伸びる、そのときのあがきが好きになることは、親子ともども必要です。

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