ヒゲおやじ先生の脳コラム
幼児期は心の根っこをつくるとき
脳の発達にある3パターンのピーク
※2008年にP・ショーらによる脳の発達に関する調査研究報告が出ました。5歳から25歳までの期間にとった約2800人の子どもたちの積算データによるものです。そこでは、脳の場所によって発達のピークが異なる、発達のピークはだいたい3パターンに分かれるという結果が出ました。
一つは、調べ始めの5歳からずっと下がっていくところがあって、そのため、おそらく5歳より前にピークがあるだろうといわれている部分(グラフ1)。
それから、従来からいわれている大脳新皮質や前頭葉のピークに近い話なんですが、7歳くらいから12歳くらいがピークになっている部分(グラフ2)。
もう一つはそれより遅れて、思春期にあたる12、13歳から24、25歳にかけてのゆるいピークがある部分です(グラフ3)。
※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2011年4月号に掲載されたものです。
すごく大づかみに言うと、5歳より前にピークが来る場所というのは主に心に関係するところになります。「何かを知っている」とか「何かが好き」のような、アバウトな記憶と好き嫌いを一致させて、「なんとなくこういうことが好き」ということを決めていく場所がまずできてしまう。そのあと知的な活動の部分が発達して、頭の使い方が完成されていく。そして思春期でまた心関連のところ、最初のピークの場所とは少し違いますが、人の気持ちを読んだり、自分ってなんだろうという自己モニターに関する部分が育っていきます。
やっていて楽しいと思えることが大切
ですから、その時期、幼児期に、人とつながっていて楽しい、体を動かすとおもしろい、頭を使うとおもしろい、ということがきっちり入っていくことが大切です。できる、できない、ではなく、やっていて楽しいと思えることがすごく大切。
それにはおうちの方が楽しいねって思わないと、ミラーニューロンシステムというものによって、子どもにうまく伝わりません。昨年のポピーの実験で指人形で楽しく遊ぶということをやりましたが、それだけ見ればとても単純なことであるものの、人との関わりという面から見ると極めて大切なんですね。ポピーを使って楽しくやっていただくといいと思います。
開いた質問に近いのは、読み聞かせです。一つのお話を読んでも受け取り方は多様で、読んでもらう子どものほうは拡散的に考えていくことになります。
昔話を聞かせるのもいいでしょうし、キャッチボールのようにやり取りしながらお話を作っていくのもいいですね。親が「どんぶらこっこ」とまで話して「はい、どうぞ」と子どもに続けるようバトンタッチするという具合に。ときにはお母さんから「下品な言葉はなし」なんてダメ出しをしたりしてね。
字を書く、箸を使うも体のコントロール
小さい時期は体のコントロールということを広めに理解してください。体育の運動のような体全体のコントロールだけでなく、字を書く、箸を使うということも身体コントロールそのものです。使っている脳部位は同じですから。
以前から言っているように、幼児期は心の根っこをつくる時期です。頭をつかう、体を動かす、人とつながる、そういうことを好きになろうということですね。小学校時期の知的な発達も、思春期の大人の心への発達も、この時期の脳がすべての基盤になるわけですから。
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