ヒゲおやじ先生の脳コラム

2017.12.05

親子でポピーをすると頭を使うのが好きになりやすい

今回のお話は、幼児ポピーをしているときの脳活動を調べた実験の報告です。親子でやることの意義をあらためて確認していただきました。

幼児ポピーは実験します

わたしたちは2006年から毎年、私の大学(諏訪東京理科大)で、「幼児ポピーを使っているときの脳活動」を測定しています。ポピーで子どもの脳を育てたい、子どもの成長に寄与したいと公言する限りは、ポピーを使っているときの脳活動をチェックし、その結果に基づいてポピーを改良したり、その使い方を提案する責務が、ポピーを監修・制作するわれわれの側にあると考えているからです。

今回の実験の主な課題は、「親子でポピーをすることの意義を確認すること」です。これまでの調査で、親子でポピーを行うと親にとっても脳トレーニングになりやすいことや、親の脳活動がまず高まって子が引きずられて活動を高めたり、お互いの脳がシンクロしたり、一種の共振現象があることが見出されています。そこで今回は、読み聞かせ、指人形遊びなどの「わぁくん系」と、迷路やみつけ遊びのような「ドリるん系」課題で比較しながら、親子でポピーを行う意味を考えていくのが目的でした。あわせてぬり絵課題をし残すケースが散見されるので、ぬり絵課題に脳的意味を再確認しようというのがサブテーマでした。

※この記事は、「ほほえみお母さん&お父さん」2012年1月号に掲載されたものです。

親子で行う大きな意味は脳の鎮静化にある

図1はこの実験時の子どもの脳活動の一部です。左列が、読み聞かせ、指人形遊びなどの「わぁくん系」、中列が迷路やみつけ遊びのような「ドリるん系」、右列はぬり絵です。赤いところが活性化している部位、青いところは鎮静化している部位です。 ちょっと引いて見るとわかりやすいと思いますが、「わぁくん」では脳の前頭葉側の活動が鎮静化していて、その一方で想像力にかかわる角回の活動が高まっています。読み聞かせではよく出る活動パターンで、わぁくん的な課題が想像性をはぐくむ可能性が指摘できます。

それに比べて、迷路遊びやみつけ遊びのような「ドリるん系」の課題では、相対的に前頭葉の活動が高まります。集中する、脳にメモする、考えるといったいわゆる脳トレを目指したなりのことはあります。

右列のぬり絵も特に左前頭葉を強く活性化させており、図2に示したようにぬり絵が有望な脳トレーニングになりうることがわかります。これをやり残すのはもったいない。

また、最初の図1に戻ると、どの課題でも右の前頭葉の前下側の活動は低くなっています。ここはストレスがあると活動を高めやすい部位。つまり親子で行うポピーでは脳にストレスがかかりにくいのです。

5歳までの課題は頭を使うのが好きになること

この連載でも紹介していますが、5歳前に発達のピークがある脳部位があり、そこは何かが好きになること、その記憶に深くかかわる部位です。ですから、5歳前の子どもたちの大きな課題は何かが出来るようになることより、未来の成長に必要なことを好きになることです。頭を使うこと、身体を動かすこと、人とかかわること、すくなくともこれらが嫌でないように導くことが重要です。

ですから、ポピーを親子でやるとストレスが小さくなることは素晴らしいことです。脳を鎮静化させつつ、必要な脳部位は活性化していく、そのバランスはまずは親子のかかわりの中で得られていくのです。図3の上段は子どもの脳活動、下段は親の脳活動の様子ですが、親の脳活動がまず高まって子が引きずられて活動を高めたり、お互いの脳がシンクロしたり、これまでも見出されてきた共振現象が認められます。

この現象は「わあくん系」課題で強いですが、「ドリるん系」課題でも見出されます。こうやってこころを同調させて子どものこころを安心させ、本を読むこと、頭を使うことなどが好きになっていくのです。
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